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2006年12月 アーカイブ

2006年12月02日

大学院教育コースのリトリート

昨日の午後から、所属する大学院教育コース(参照)の二回目のretreatが近江今津のホテルで泊まりがけであり参加してきました。(因みに一回目は有馬温泉でありました。)
まさに合宿です。夕ご飯を一緒に食べて夜半まで議論するという形式です。参加の大学院生も研究成果の発表を皆の前でして様々な分野の人からの意見を聞くと云うプログラムをあります。学生が企画した討論もありました。今回は”良い研究成果とは何か”というテーマで二時間くらい議論しました。
二日目、今日はコース外からのゲストスピーカーとして柳田充弘先生の話をお聞きしました。(登場した先生を拝見して、一瞬T庶先生かと見まがいました。)
内容は、キャリア形成の話を20分程度、先生の研究の話を一時間程度でした。ブログで想像していた様な先生でした。先生自身ブログで今回のretreatの事を書いておられます。柳田節を堪能しました。
柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida : 近江今津の町、昔も今も、落ち葉
柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida : リトリート、外国人PI

麻酔科からもぼくの他に大学院の先生が一人参加してくれました。立派に発表できていてぼくはほっとしました。
こういった行事は今後も続いていくと良いと思います。世話役の学生さんお疲れでした。

こんなのいいでしょう、皆さんも是非京大の大学院に進学してください。

2006年12月03日

今週の一押し47:"背信の科学者"

背信の科学者たち
10年ほど前に出版されたものが最新のデータをつけてブルーバックスとして出ていました。
捏造問題には根深いものがあることが良く解ると思います。

これでいいのでしょうか

大学病院のウラは墓場―医学部が患者を殺す
昨今報道されている、医療問題が列挙されています。大学の教員の医療技術が低いとかよくあるステロタイプの主張がされています。世の中には医療力も低く研究能力もない医師もたくさん存在すると云うことを無視しています。
また特定の大学病院の状況を批判したものではありません。そういう云う本が存在すべきともいます。スーパードクターの裏表とかそういった内容の本があるとおもしろいし世の中の人に役立つと思います。
麻酔に関して、医師がすべて麻酔を管理する必要はないと明言されています。根拠は十分でないです。こういった話は、具体的なデータに基づくと説得力があります。自分は実は過去10年これでやっていますが事故は無しですとかそういった事実を背景にした主張なら無視できない場合もあると思います。こういった主張は、見かける場合は多いですが一冊の書籍の中で堂々と主張されたのを見ることは希です。これはこれで問題だと思います。

リトリートの話(続)

リトリートの話の続きです。
この合宿、費用は医学研究科が負担してくれます。要するにタダです。例外は、夕ご飯の乾杯のビール代。これは教員のカンパで賄っています。順当な線だと思います。途中で頂いた大福(N田先生は日本で一番おいしい大福だとおっしゃっていました)もたぶんどなたかの寄付だと思いますけど。

細胞生物学・細胞生理学コースは所属している博士課程の学生の半分以上は医者ではありません。京大、または他大学の修士を終えて入学なさっている人たちです。
皆さん研究の初心者でなく堂々としておられる人が多いです。
今回印象に残ったのは、医者ベースの学生さんが、結構基本的で質問するのが恥ずかしいかもと思われるような質問をどんどんしていましたことです。このようなリトリートでお高くとまっていても仕方ないしそこら辺を自覚されていたのか議論を盛り上げるのに随分役に立ったような気がします。日頃から患者さんに接しているとかそういったことが生きているのだと思います。良い傾向だと思います。知らないことはどんどん質問したらいいと思います。これがもうすぐ学位をもらう人たったらこれは大問題ですけど、初学者は仕方ないです。いままで患者を診ていた人がはじめから実験の実際に習熟しているはずはないし、テキストやwebで公開されていないことなど山ほどあります。

二日目の最後のセッションは”研究と臨床”ということでぼくを含めた臨床からの教員三人のshort talkのあと皆さんの質問、コメントを受け付けました。医者が大学院に入るのは一種の息抜きだというのは本当かといった質問もありました。答えるのがなかなか難しい質問ですね。皆さんどう思いますか。そういった側面があることはぼくは否定しません。ただそれと良い研究ができるかどうかは別物だとは思います。熱意があっても空回りしている人もいますし..
最後にN宮先生から、臨床で研究を続ける難しさについてコメントがありました。これはぼくらが強調するとただのグチになるのであまり大きな声で言えなかったことです。N宮先生には理解して頂いていると思うと救いなのですが、だからといって状況が革命的に変革されることは無いと思います。

2006年12月04日

torcetrapibの開発中止

End of Drug Trial Is a Big Loss for Pfizer and Heart Patients - New York Times
Pfizerのtorcetrapibの臨床治験が中止になったという話です。
torcetrapibはCETP(Cholesteryl Ester Transfer Protein)を阻害する作用をもちHDLのレベルを上げて、LDLのレベルを下げるることにより冠動脈・循環器疾患の治療薬として期待されていました。
今回治験の結果が思わしくなくというよりコントロール群より成績が悪く会社としてこの薬剤を捨てることになったようです。
いままでの約$1 billionの投資がムダになったとのことです。
薬剤の開発というのは難しいものなのですね。

2006年12月05日

今日のぼく:風邪

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風邪引いて熱発しています。というわけでサーモグラフィーにしてみました。
昨日一日どうにか乗り切り今日もさっきまでなんとかもっていたのですが、急に汗をかき始めて寒気がしてきました。今日はこれで帰宅して寝ようと思います。

2006年12月06日

トランス脂肪酸禁止

New York Bans Most Trans Fats in Restaurants - New York Times
だそうです。
トランス脂肪酸に興味のある人はここから(参照

ぼくらはこの結果は得られませんでした

Anesthesiology - Abstract: Volume 105(6) December 2006 p 1211-1219 Up-regulation of Hypoxia Inducible Factor 1[alpha] by Isoflurane in Hep3B Cells.

今日こんな論文を見つけました。
3年も前にぼくらも試しましたがこのような結果は得られませんでした。dataがホントだとするとこれはかなり強い誘導です。
Fig,3で誘導の機序を論じていますがdataがおかしいような気もします。またこのdataの解釈はHIF-1学的にはかなり恣意的です。

この論文のはるか以前にはReversible inhibition of hypoxia-inducible factor 1 activation by exposure of hypoxic cells to the volatile anesthetic halothane.
と言う論文をぼくらは発表しています。はじめAnesthesioloyだったかA&Aだったかに送ったのですが、意味のない研究だと言われて断られた記憶があります。
細胞も同じ、解析もほぼ同じなのですがなんでなんでしょうか。
ぼくらの論文も引用されていますが、さらっと流しています。

何でこんなに結果が異なるのか考えていますがよく解りません。麻酔薬のtreatの仕方も大差ないし..
もう一回やってみようかなとも思っています。

2006年12月07日

なくしものが出てきた

実は、二週間前に結婚指輪を無くしました。
CV-lineをとる必要があり手洗いをして術衣のポケットに入れ忘れました。
気付いたのは翌朝で、電車に乗っていて前に座った女の人がえらい派手な指輪をしているのを見て自分の指に指輪がないことに気付きました。
結局二週間出てこなかったわけですが昨日リネンの部署の方が届けてくれたそうです。
滅菌の熱のせいか指輪は変形していました。案外弱いものだなと思いました。人間の気持の方がもっと弱いのかも知れません。

無くして数日は結構落ち込んでいたのですが、それを過ぎるともういいかという気持ちになりかけていたのが今日発見されたことで吹き飛びました。見つかって良かったです。日曜日から引いていた風邪もなんとか克服。すこし元気が出てきました。

<無惨に変形した指輪>
http://www.flickr.com/photos/97229906@N00/322083661/

他山の石

大学病院でなぜ心臓は止まったのか
こんな本があったのですね。

こういった事例を他山の石としていかないといけないとつくづく思います。

Harold Varmus氏加入

Profiles in Science: The Harold Varmus Papers
NIHの"Profiles in Science"
Harold Varmus氏が新たに入りました。


一瞬びびった

HIF1{alpha} delays premature senescence through the activation of MIF -- Welford et al., 10.1101/gad.1471106 -- Genes and Development

一瞬ぎょっとしました。
でもこれはおもしろい視点の論文だと思います。

マラソン中に心筋障害がおこる

Myocardial Injury and Ventricular Dysfunction Related to Training Levels Among Nonelite Participants in the Boston Marathon -- Neilan et al. 114 (22): 2325 -- Circulation
この論文はなかなか示唆的です。
ボストンマラソンを走り抜く能力を持った人たちでもしっかりとした検査をすれば心筋の障害が高率で見つかるようです。また運動能力の低い人ほど障害がひどいようです。

これは手術中でも言えるのではないでしょうか。
心臓に何の異常も事前に指摘されていなくとも、鎮痛が不十分だとかそういった理由で心臓ががんばりすぎるとやっぱりいかれちゃうと言うことがあるのではないでしょうか。

2006年12月09日

今週の一押し48:"渋滞学”

渋滞学
文字通り’渋滞’に関する本ですが、本当は渋滞を説明できる理論の話です。
様々な世の中の渋滞を論じています。道路で見られる渋滞からInternet上の渋滞。またまたアリの渋滞からまで論じています。

自己駆動粒子(self-driven particle)とは、自分の意志を持って自発的に動く粒子のことで、道を歩く人間は典型例です。これを自己駆動粒子系の理論モデルとしてASEP(非対称単純排除過程、エイセップ)というモデル系を使って解いていくと渋滞がうまく理解できるという仕掛けになっています。道路公団の資料による実際の渋滞をよく説明できるのだそうだ。
ADPとして道路上の自動車を選べば渋滞学であるがADPとしていろんな素子を選ぶことにより、リボゾームでのタンパク質合成、神経細胞における分子モーター(キネシン)の運動などを解析していく様子も記述することができるそうです。

ロゲルギストという六人の物理学者の集団が共同で書いた’物理の散歩道’という本を高校生の時読んだことがあります。この中で確か本書と同じようなアプローチの解析を読んだことがあります。その意味ではとても懐かしかったが、多分ロゲルギストの議論より難しいと思う。

これで渋滞がわかったかというとぼくには自信はないのですが、これから渋滞に巻き込まれるたびにこの本の内容を思い出すだろうということは間違いないと思います。

著者は東大の先生でnetで研究成果も発表されています。西成総研

2006年12月10日

golden laryngoscope

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挿管通算10000回を超えた練達の麻酔科医にだけ使うことが許された黄金の喉頭鏡を拝ませて頂きました。

2006年12月12日

Protein Crystallography under Xenon and Nitrous Oxide Pressure

Protein Crystallography under Xenon and Nitrous Oxide Pressure: Comparison with In Vivo Pharmacology Studies and Implications for the Mechanism of Inhaled Anesthetic Action -- Colloc'h et al. 92 (1): 217 -- Biophysical Journal
タイトルだけ読んだらなんかすごいなと思いましたが、内容を読んでみると結局何が示せたのかよくわからん論文です。
これを続けても麻酔の本態は解明できないことは確かだが必要な研究だとは思います。

2006年12月13日

HPVとTRPC6

Classical transient receptor potential channel 6 (TRPC6) is essential for hypoxic pulmonary vasoconstriction and alveolar gas exchange -- Weissmann et al. 103 (50): 19093 -- Proceedings of the National Academy of Sciences
まだ全部読んだわけではないのですが、なかなか示唆に富むおもしろそうな論文のように見えます

2006年12月14日

無痛症の原因遺伝子

雑誌Natureの最新号にパキスタンで見いだされたあるタイプの無痛症ーと呼んでいいと思うのですがーの原因遺伝子を同定したという報告が出ています。
An SCN9A channelopathy causes congenital inability to experience pain : Abstract : Nature

この無痛症患者は、あらゆるタイプの痛み感覚は無いが熱い-冷たいなどの感覚はあり、発汗もするというタイプだそうです。neuropathyもない、つまりcongenital insensitivity to pain with anhydrosis やcongenital insensitivity to pain とは異なるタイプの無痛症であると言うことだと思います。
詳しいphenotypeは論文に記載されています。

因みにきっかけになった少年は、自分の無痛を利用した大道芸の芸人であったのだが屋根から飛び降りて死んでしまったのだそうです。
このタイプの無痛症の3家系を探しだしpositinal cloningの定法に基づき遺伝子を探す過程でSCN9Aという -subunit of the voltage-gated sodium channel(Nav1.7)をコードする遺伝子に変異を見いだしたという報告です。

今回の変異は、stop codonが生み出される変異だと言うことですが、この遺伝子で見いだされる様々なSNPが個人個人で非常にことなる痛みの受容と何らかの相関があったり、また同じタイプの別の遺伝子でもそのような現象が見いだされたりするとなかなかおもしろい展開になるのだと思います。

NYTにも出ています
Gene That Governs Pain Perception Is Found - New York Times

どれだけ眠いかが判る!?

Identification of a biomarker for sleep drive in flies and humans -- Seugnet et al., 10.1073/pnas.0609463104 -- Proceedings of the National Academy of Sciences
どれだけ眠いかのマーカーに唾液のAmylaseがなる!?
かなり無理な話のような気もしますが..
唾液のAmylaseを計測して”ストレス”の指標にしようというような話は結構あります。これはこれで...

寝ないとぼけるのか

Sleep deprivation inhibits adult neurogenesis in the hippocampus by elevating glucocorticoids -- Mirescu et al. 103 (50): 19170 -- Proceedings of the National Academy of Sciences
こんな話もあります。
寝ないとぼけるのかな?

2006年12月15日

"Blood, Sweat and Type O: Japan's Weird Science"

Blood, Sweat and Type O: Japan's Weird Science - New York Times
これは一種の日本人論ですね。

Oxytocinが胎児に及ぼす作用

Maternal Oxytocin Triggers a Transient Inhibitory Switch in GABA Signaling in the Fetal Brain During Delivery -- Tyzio et al. 314 (5806): 1788 -- Science

この論文には驚きました。
分娩前の胎児の未成熟なneuronではGABAは興奮性のトランスミッターとして働いているのだそうですが、分娩を契機に抑制性のシグナルを担うような質的な転換が起こるのだそうです。この転換を引き起こすのが母体から胎児に伝わるoxytocinなのだという報告です。
実際このような変換は胎児の脳を低酸素から守る作用も持つのだということも記載されています。
びっくりします。
oxytosinは子宮を収縮させるだけの役割を担っている訳ではないようです。

米国で乳ガンの発症が激減

Reversing Trend, Big Drop Is Seen in Breast Cancer - New York Times
この話すごいことだと思うのだが日本では報道されていないような。

2006年12月16日

捏造の勧め!?

改正された教育基本法が国会で成立したそうである。
あまり関心を持っていなかったのだが、時間もあるし一応どんなものかと思い読んでみた。
教育基本法案について−文部科学省
この通りに成立したとすると第七条は以下の通りである。

大学は、学術の中心として、高い教養と専門的能力を培うとともに、深く真理を探究して新たな知見を創造し、これらの成果を広く社会に提供することにより、社会の発展に寄与するものとする

なんと”知見を創造し”とある。
知見を創造するとは捏造をしろといっているのであろうか。
創造とは”それまでなかったものを初めてつくり出すこと(大辞林 第二版)"であるから、発見するとかそういったこととは本質的には異なることである。生物学には発見はあっても創造は無いとぼくは思っている。

そう思ってネット上を検索してみるとこの件に関するつっこみは当然されていた(@某巨大掲示板)。

なんか困ったことだと思う。

2006年12月17日

死刑執行の失敗の結果

Lethal Injection Under Microscope - New York Times

以前にも書きました(hypoxia research::blog: 死刑に麻酔科医は関わるべきか)が米国の死刑は薬剤の投与で行われます。
薬剤の投与法に問題があれば目的が達せられない場合や大変な苦痛を死刑囚が感じることも可能性としてはあるわけですが、今回、フロリダ州での死刑執行中にV-lineが抜けて一回目の執行が目的を達せられなかったという事態が起こったようです。
結果、フロリダ州とカリフォルニア州で死刑の執行が停止されたという報道です。

"Felson"の新版がでます

医学部のポリクリは、新研修制度の導入でかつてぼくたちが経験したものと学生にとっても教える側にも意味合いが大きく変化したと思いますが、やはり生の臨床に振れる機会としては何らかの意味はあると思います。
放射線科のポリクリの担当教官の一人は伊藤春海先生でした(参照)。
胸部レントゲン写真の講義をしてくれたのですが、ぼくにとっては印象に残る授業をしてくれました。
単純胸写を示してそこからいかに肺の構造を見抜くかという話でCTや剖検の結果と関連つけての講義でした。感銘を受けて放射線科に進もうかと一時考えていました。

Felson's Principles of Chest Roentgenologyは基礎を学ぶのに適したテキストだと思います。第三版が出版されるようです。
CD-ROM付きだそうです。一応注文しました。
もう一冊
Making Sense of the Chest X-ray: A Hands-on Guide
も役立ちます。
今度翻訳が出るようです。翻訳の方が安いです。
誰もが納得!胸部X線写真の読み方
凄いタイトルですね。

Hands-On-Guideの名著にはMaking Sense of the Ecg: A Hands-On Guideも含まれます。
これにも翻訳があります。
ECGブック―心電図センスを身につける
商売上手ですね。

Hands-Onの二冊は研修医、修錬医の先生も一冊買うならこれだと云うような本ですよ。英語でも日本語でも多分大した違いは無いと思いますが、英語版はコンパクトでとっても良いですよ。ぼくはこっちを勧めます。

2006年12月21日

今週の一押し49:"ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)"

ヒューマン2.0―web新時代の働き方(かもしれない)
今の時点で49番ということは何回か抜けた週があるということでしょうか。気にしないでください。

おもしろい題名の本です。
シリコンバレーで活躍中の著者が、シリコンバレーで働く人々を題材に新時代の働き方を描いた本。

日本の医者にも新しい働き方があるのか、ないのか。
働き方、キャリアの積み方には多様性が生まれそうでいてそうでもないような気配もあるというのが現状でしょうね。
一年本気で働いて次の一年は休むというか充電をするというような働き方ができるくらい収入があるとホントに多様になっていくと思います。

ScienceCareers.org | Life Scientists Report Rising Salaries and High Job Satisfaction: Austin: 3 November 2006
こんなレポートがあります。もらい過ぎと感じる人もいるだろうし、大したこと無いなと思う人もいると思います。

たしかに凄い話だな

An obesity-associated gut microbiome with increased capacity for energy harvest : Abstract : Nature

たしかに凄い話です。

2006年12月23日

"Science"の今年の10大ニュース

米国の科学雑誌"Science"決めた今年の10大ニュース

1 The Poincare Conjecture--Proved
2 DIGGING OUT FOSSIL DNA
3 SHRINKING ICE
4 NEITHER FISH NOR FOWL
5 THE ULTIMATE CAMOUFLAGE
6 A RAY OF HOPE FOR MACULAR DEGENERATION PATIENTS
7 DOWN THE BIODIVERSITY ROAD
8 PEERING BEYOND THE LIGHT BARRIER
9 THE PERSISTENCE OF MEMORY
10 MINUTE MANIPULATIONS

5 THE ULTIMATE CAMOUFLAGE
はいちじ話題になりましたが、ここに選ばれるのは意外でした。
透明人間になれるコートの話ですから。

BREAKTHROUGH OF THE YEAR: The Runners-Up -- 314 (5807): 1850a -- Science

BREAKTHROUGH OF THE YEAR: The Poincare Conjecture--Proved -- Mackenzie 314 (5807): 1848 -- Science

EndnoteX

文献整理、論文の執筆にEndnote(参照)というapplicationを以前から使っています。

少し前にEndnoteXにバージョンアップされました。

きのうなぜか頼みもしないのにバージョンアップ用のdiskを送ってもらいました。
さっそくInstallしてみました。

とにかく速い。大満足です。

2006年12月24日

はたちの献血の彼女

職場では手術室の更衣室を出た場所に輸血部が位置してしています。
夜になり手術室を出るとき輸血部の壁に貼ってある”はたちの献血”のポスターの彼女に会うわけですが、彼女が誰か解りました。(参照
二十歳には見えないと思っていましたが果たして二十歳ではありませんでした。

彼女に”会う”のが手術後の密かな楽しみです。

[追記]

http://www.jrc.or.jp/gallery/movie/campeign_broad.mpg

硫黄島からの手紙 観ました

映画”硫黄島からの手紙”を観ました。(LETTERS OF IWO JIMA)

アメリカ映画ですが、ほとんど全編、日本人が日本語で演じる映画です。
誰が脚本を担当しているのかと思ったらIris Yamashitaさんという日系二世の女性でした。

栗林中将が戦死することは史実として明らかなのですが、他の登場人物とくに二宮クンが演じる西郷が最期にどうなるのかははじまりの時点では不明です。観客は、否応なく彼らに感情を移入して最期まで映画を観てしまいます。連作の相方、”父親たちの星条旗”と比較してもこちらに作品の評価では軍配が上がるのではないかと思います。
強烈な政治的なメッセージがあるわけでないこの映画をぼくは評価しますが、戦争への批判が足りないという意見にも一理はあると思います。
映画のエンドロールによれば「玉砕総指揮官」の絵手紙から着想を得たと記されていました。

制海権、制空権も失った島に二万数千人で置き去りにされるという状況は、卑近な例を引き出せば、手術件数がどんどん増えていく病院に外部からの応援もなく勤務し続けるのと似ていると思いました。
大きな枠組みは病院の執行部が決めます。病院の収支の改善の名目で給与の上昇を抑制してきます。その状況下では外科医も手術増加の圧力を受けどんどん手術件数が増加していきます。
五年後、十年後につながっているような努力を積み重ねていく以外に取る道はないとは思っています。今のところ逃げも隠れもできないので。

2006年12月26日

学位の審査

年の瀬ですが、今日職場の同僚の学位の審査がありました。

研究内容を審査員の前でプレゼンテーションして試問をしのぐというおそらくどこの大学でも同様の形式だと思います。 米国(すくなくとも)ではdefenceと言う直裁的な呼ばれ方をします。審査委員は申請者を攻撃して申請者はそれを防御するという意味だと思います。
学位のdefenceでも時にとてもおもしろい議論が起こることがありますが今日は、特に波乱もなく無事おわりました。面妖な質問をする先生はいたことはいましたが..

defenceの終わった後で審査委員で協議をして合否を判定するのですが、はじめて”専門医委員”というヘンな名前の資格で協議に参加しました。あんな話をするのですね。知りませんでした。
最後に結論に同意したら署名捺印をするのですが判子持ってきていませんでした。

結果は合格ということでおめでとうございました。

でも油断はできません。最終的には研究科会議で認めていただかないといけないですから。

院生の人たちも傍聴していました。
あんなものだと思っていたら痛い眼にあるかも知れません。ぐいぐい攻め込んで来る先生もいますから。

2006年12月28日

Opiorphin

Human Opiorphin, a natural antinociceptive modulator of opioid-dependent pathways -- Wisner et al., 10.1073/pnas.0605865103 -- Proceedings of the National Academy of Sciences
Opiorphinって勉強不足でさっきまで知りませんでした。
すごく強い鎮痛作用を持っているようです。

今週の一押し50:"獄中記"

獄中記

年末にすごい本が出たものである。
今年のノンフィクション部門の文句なしにNO1だと思います。

自壊する帝国
国家の罠 外務省のラスプーチンと呼ばれて
をしのぐおもしろさ。

2006年12月29日

今年のベストスリー:小説

今年読んだ小説のベストスリーです。

ジェイン・オースティンの読書会


ミーナの行進


新リア王 上


新リア王は正確には昨年の発刊です。

2006年12月31日

仕事納め

今日が今年の仕事納めです。
ついさっきまで手術室で働いていました。
もしかしたら今年で収まらずに足かけ二年で仕事になる可能性が結構濃厚です。
予定していた仕事ができずに困っています。

比叡山も朝の内は白いモノが残っていましたが今見るとすっかり消えています。

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後三時間で

今年もあと3時間です。
手術室で新年を迎える展開は無くなったと希望的に判断しています。

はじめの皮算用では夕方には仕事を終えてゆっくりできるはずだったのですが...

結局 computerのモニターの前で年越しです。


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