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2005年01月06日

抗生剤の神経保護作用

[beta]-Lactam antibiotics offer neuroprotection by increasing glutamate transporter expression
なんでもありですね。というか効いたもん勝ち。

ALSのモデルマウスでも病態の進行を食い止めることができまた虚血再灌流障害の軽減でもほんもののpreconditioningと同等の効果があるというのですから驚きです。
有効濃度は、髄膜炎の治療のときとほぼ同等の濃度ですので十分臨床的にあり得るとのことです。
手術前にペニシリンを打っておくといいのでしょうか? 

β-ラクタム抗生物質はグルタミン酸輸送体の発現を増加させて神経を保護する -Lactam antibiotics offer neuroprotection by increasing glutamate transporter expression グルタミン酸は神経系の主要な興奮性神経伝達物質である。シナプスでのグルタミン酸不活性化を担うのがグルタミン酸輸送体GLT1(EAAT2ともよばれる)で、生理的にアストログリアでは最も多いタンパク質である。正常、異常を問わずシナプスの活動にはGLT1がきわめて重要であるが、このタンパク質を正に調節する実用的薬剤は見つかっていない。このタンパク質が正常な興奮性シナプス伝達に重要であることは動物実験で明らかにされており、一方、その機能異常は筋萎縮性側索硬化症(ALS)、卒中、脳腫瘍、てんかんなど、急性および慢性の神経疾患にかかわるとされている。今回我々は、FDAの認可を受けた1,040種類の薬剤と栄養食品を対象にブラインド・スクリーニングを行い、多くのβ-ラクタム抗生物質がGLT1の発現を強力に促進することを発見した。さらに、この作用はGLT1遺伝子転写の増加を介して起こるようである。β-ラクタムやその種々の半合成誘導体は、細菌の合成経路を阻害する強力な抗生物質である。β-ラクタムのセフトリアキソンを動物に投与すると、脳でのGLT1の発現が増加するとともに、GLT1の生化学的、機能的活性が上昇した。グルタミン酸輸送体は、グルタミン酸の神経毒性を防ぐうえで重要である。セフトリアキソンは、グルタミン酸の毒性が原因の1つになる虚血性損傷や運動神経の変性のin vitroモデルで用いると、神経を保護する作用を示す。致死性の疾患であるALSの動物モデルに投与すると、セフトリアキソンはニューロンの消失と筋力の低下を遅らせ、マウスの生存率を上昇させた。このように今回の研究で、遺伝子の活性化によって神経伝達物質であるグルタミン酸の輸送体の発現を調節する、新種の神経治療薬となりうる薬剤が明らかになった。

投稿者 hif1 : 2005年01月06日 08:20

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