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2005年09月29日

”告白"

告白は今年の谷崎潤一郎賞を受賞した二冊の内の一つです。
今年の春に出版されたときに買おうと思いまましたが図書館で借りることもできるだろうと(実際にはぼくの市の図書館にはまだ入っていない)考え買っては読んでいませんでした。
今回の受賞を期に読んでみました。

主人公熊太郎の心理描写がこの小説の柱なのですが、大いに共感しました。
ぼくは、大学院は麻酔科でなく大学付属の某独立研究所で過ごしたのですが、なんとも頼りない研究室で不十分な大学院教育しかうけていないという劣等感があり麻酔科に戻り自分で科研費をとり独立してからも自分のやっていることは所詮見よう見まねでやっていることでありまがい物であるという意識を持っていました。これが払拭されたのは米国で自分でも納得のいく仕事ができたという体験をしてからです。
ともかく”告白”は今年新たに読んだ小説でbestになると思います。

告白

投稿者 hif1 : 17:21 | コメント (0) | トラックバック

anesthesia & Analgesia 2005年10月号より

A&A 10月号今日読んでみました。
久々にまとめてみます。

Morphine Induces Late Cardioprotection in Rat Hearts In Vivo: The Involvement of Opioid Receptors and Nuclear Transcription Factor {kappa}B -- Fra¨ssdorf et al. 101 (4): 934 -- Anesthesia
この論文はつっこみどころが多すぎです。
例えばfigure 3。NF-kBの活性への関与を見ているのですが、lane4のnaloxoneは単独でIkBのリン酸化を抑制しているように見えます。
また驚くべきことにLPSによるNF-kBの活性化がnaloxoneによって拮抗されるという結果が提示されています。機序についてはさらっと議論してありますがとうてい納得できるものではありません。
その他穴だらけ。
なんでこのような不完全な論文が掲載されるのか理解に苦しみます。

Morphine Enhances Isoflurane-Induced Postconditioning Against Myocardial Infarction: The Role of Phosphatidylinositol-3-Kinase and Opioid Receptors in Rabbits -- Weihrauch et al. 101 (4): 942 -- Anesthesia
それに較べてこちらはおもしろいがどうかは別としてしっかりしているかも。うさぎを 108匹つかってこの論文一つだとしたらうさぎが浮かばれないような気もしますが..

Immunosuppression by Morphine-Induced Lymphocyte Apoptosis: Is It a Real Issue? -- Ohara et al. 101 (4): 1117 -- Anesthesia
この論文で必要なことは、すくなくともmorphineがこの細胞に何らかの作用をもたらしその上でdeath signalに何らの影響を与えていなかったと言うことではないでしょうか。そうでなければ科学的なおもしろみがない。
Optimal End-Tidal Sevoflurane Concentration for the Removal of the Laryngeal Mask Airway in Anesthetized Adults -- Shim et al. 101 (4): 1034 -- Anesthesia
とってもためになりました。日頃思っていたことを調べてくれた人がいてよかった、という論文。これと同じ検討がいくつか出てくると良いと思います。

投稿者 hif1 : 17:08 | コメント (0) | トラックバック

ざくろと前立腺癌

天然の食物に含まれているある種の成分がガンの予防や治療に役立つかもという話はいろいろあって、お茶の成分であるカテキンなどもその一例です。
というわけで今度はザクロです。前立腺癌の予防と治療に効果があると主張しています。
Pomegranate fruit juice for chemoprevention and chemotherapy of prostate cancer -- Malik et al., 10.1073/pnas.0505870102 -- Proceedings of the National Academy of Sciences

投稿者 hif1 : 16:26 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月28日

個の医療

JAMA -- Abstract: {beta}2-Adrenergic Receptor Genotype and Survival Among Patients Receiving {beta}-Blocker Therapy After an Acute Coronary Syndrome, September 28, 2005, Lanfear et al. 294 (12): 1526
ベータ2受容体の多型がベターブロッカー治療の成否を決める!?
ありそうな話ですが実際にあるようです。

投稿者 hif1 : 22:22 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月27日

BMIとAlzheimer病のリスク

Change in body mass index and risk of incident Alzheimer disease -- Buchman et al. 65 (6): 892 -- Neurology
やせるとやばいのか。


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2005年09月25日

東京奇譚集

東京奇譚集です。
”日々移動する腎臓のかたちをした石”の英訳も最近New Yorkerに出ていたし英訳の出版も間近いと思います。
訳者はおなじみJay Rubin.

New Yorkerと言えばThe Complete New Yorkerはすごい。思わず注文しました。

投稿者 hif1 : 21:03 | コメント (0) | トラックバック

NANA

娘とNANA観てきました。
なかり良くできていたと思います。かなりコミックスに忠実にできているし。
続編がでるのも当然だね。あそこで終わったら。

原作への忠実度は春の雪より高いと思う。

投稿者 hif1 : 20:55 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月22日

研究資金の配分問題について

総理大臣が議長の総合科学技術会議というのがあります。
議事録の多分一部がネットでも読めます。
例えば
第48回本会議議事要旨

では
”研究資金の配分問題について”なんてことも議題に上がっていました。
偉い先生結構言いたい放題なのですが良いことは言っていますよ。是非そのようになってもらいたいものです。


投稿者 hif1 : 21:13 | コメント (0) | トラックバック

比較される病院

New York Timesの記事からです。

To Find a Doctor, Mine the Data - New York Times

今日、日本でもインターネットを使って医療情報を得ると言うことがかなり一般化しつつあります。単なる医学・医療知識の検索でなく、実際に診察を受ける医療機関や医師についての情報もネット上では検索できてそのためお客さんである患者にとって魅力的なホームページを作っていくことが病院の生き残りの戦略の一つになっています。きれいなホームページを作る能力がその病院の診療能力とどのような相関があるのかは解りませんが、気の利いたデザイナーに頼めばいくらでも見栄えのするホームページなどつくれるだろうと言うことから推測してもそんなに強い相関など無かろうとは思っています。

NYTの記事で以下のサイトが紹介されていました。

HHS - Hospital Compare

政府の機関が病院の比較のためのサイトを開いているわけです。
例えばMaryland州ではぼくの知っている病院は一つも出てきてません。Johns Hopkins Univ. Hospitalも載っていません。理詳しく読んでいないので病院の選択基準もぼくは解っていません。

日本も米国のやり方を追っかけてこんなサイトが出来ていくのでしょうね。

きれいなホームページということですが、ホームページのきれいさとそこの麻酔科の力には何か相関があるのでしょうか? 多分無いでしょうね。研修医の先生方はこんなこともよく考えてくださいね。

投稿者 hif1 : 20:41 | コメント (0) | トラックバック

TLR-4 on platelets

血小板にtoll-like recptor4 が発現しているそうです。

Platelets express functional Toll-like receptor-4 -- Andonegui et al. 106 (7): 2417 -- Blood


投稿者 hif1 : 18:33 | コメント (0) | トラックバック

breast density

mammographyで乳房の"density"が計算でき、denseな乳房はより乳ガンにかかりやすいのだそうです。
また研究によればこのdensityはいくつかの遺伝子によって規定されている遺伝的な要素をもっているとのこと。
結構以前からの話だそうで、知らなかったぼくははずかしい。
少し前のScienceに出ていたのを今日読みました。
BREAST CANCER: Dissecting a Hidden Breast Cancer Risk -- Couzin 309 (5741): 1664 -- Science
<追記>
こんな論文がでるのですね。
NEJM -- Diagnostic Performance of Digital versus Film Mammography for Breast-Cancer Screening

投稿者 hif1 : 16:40 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月20日

BOSEのheadphone

ついに買いました。
凄い効果です。コンピュータのブーンと言う音とか空調の単調な雑音がすべて無くなります。
別に音楽を聴かなくてもスイッチを入れさえすればほぼ完全な静寂を手に入れることが出来ます。
論文を書き始めて夜中になるとコンピュータの雑音が気になりイライラするわけですがこれからはあの雑音とおさらばさ。
難点は耳を覆う形のため長くつけているとやっぱり耳が痛くなることでしょうか。

QuietComfort2(クワイアットコンフォート2)ノイズキャンセリング・ヘッドホン

投稿者 hif1 : 21:39 | コメント (0) | トラックバック

2005 Albert Lasker Award

The Lasker Foundation | Awards | This Year's Winners
今年のラスカー賞が発表になっていますね。

Southernさんってまだ生きていたのですね。驚きました。
ノーベル賞でも文句を言う人はいないと思います。

投稿者 hif1 : 17:48 | コメント (0) | トラックバック

ミトコンドリア=酸素センサー説への反例

かなりおもしろい問題提起ですね。
ミトコンドリア酸素センサー説に対する反例を提出しているともいえますし。

Inhibition of mitochondrial respiration elevates oxygen concentration but leaves regulation of hypoxia-inducible factor (HIF) intact -- Doege et al. 106 (7): 2311 -- Blood

投稿者 hif1 : 16:37 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月18日

"誇大自己症候群"

誇大自己症候群
著者は大学の同級生です。
小説も発表しておられます。

投稿者 hif1 : 15:42 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月17日

直明けの作業効率は...

JAMA. Vol. 294 No. 9, September 7, 2005
は恒例のresident特集です。
その中でも
JAMA -- Abstract: Neurobehavioral Performance of Residents After Heavy Night Call vs After Alcohol Ingestion, September 7, 2005, Arnedt et al. 294 (9): 1025
は少し驚く研究です。
とても平たく言うと当直明けの研修医の作業効率はアルコールの家中濃度が0.04 to 0.05 g%の状態と同じだということを言っている、ということになります。
実際に酒を飲ませて研究したわけです。

こういった研究、上級医というか指導医については出てきませんね。米国では指導医が過酷な条件で働くという状況はあまり無いからなのだと思います。日本ではそうはいきませんよね。これはこれで困ったことです。

投稿者 hif1 : 23:22 | コメント (0) | トラックバック

研究費を集めるのは大変です

Research grantsThe nightmare before funding : Nature
大きくても小さくてもとにかく研究費を集めるのは大変です。
東大の多比良先生は実名で登場していますね。

投稿者 hif1 : 23:04 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月15日

生データがない


各紙で報道されている東京大学の工学部の多比良教授の部屋からの論文に関する問題は少し前に発覚した大阪大学でのケースとは比較にならないくらい大きな”事件”で、この後、日本の研究の進め方に大きな影響を与えると思います。
研究ノートの取りかたを含めたデータの管理に米国並みのものが要求されることになっていくでしょう。ルーズリーフに実験ログをとっていくというようなやり方は禁止されるかもしれません。

米国でかなり前に大問題になりそれを防止するためのいろんなルールが導入されてきました。日本から米国に留学する人は非常に多くそれらのひとも米国ではそのルールに従って研究をやってきたわけですから帰国してもそのレベルのデータ管理は出来るはずですよね。


職業としての学問にあるとおり学問が職業として成立して以来そのあり方は善きにつけあしきにつけ変わったのだと思います。競争に勝つという要素が否応なく取り入れられてきています。競争といってもASAにいくつ採択されたかやAnesthesiologyに論文が掲載されるといった次元の低いものからノーベル賞を争うといったレベルのものまでありますが、とにかく自分の属している集団では生き残りのための競争は不可避です。
競争をするのだからルールが必要でそのためには論文の適否を後から検証する仕組みがあるのは当然ですよね。医療の世界ではカルテの改ざんを防ぐための仕組みとかがどんどん導入されてきています。性悪説に基づいているとしか思えないような感じです。研究もお金に余裕のある人が余暇で行っているといったノリの時は性善説で良かったのかも知れませんが博士号を思っていても就職先の無い場合もある現在ではそうはいかないのかも知れません。
今は論文一つで企業の株価が大きく変動する可能性のある時代です。ウソでも良いから何か論文を出して株価を上げて大もうけしたら後でウソとわかってもお金は儲かったというようなことが実際にあるのかどうかは知りませんがあり得る話だと思います。


何度も引用されるような論文はある程度追試され評価が固まっていると言うことになります。追試の過程で細胞が異なる場合違う結果になったりして一時的に論争になるときもありますが結局両者を止揚するような発見に至ることもあります。
一方一回も引用されない論文もあります。発表してもだれも追試をしてくれない論文はいくらおかしなことをしていても誰にも批判されません。でもこれはさびしいです。こんなことなら研究などしないほうがましです。

なかなか難しい問題ですね。
最後は尻切れとんぼですみませんでした。


論文の信頼性に問題、遺伝子研究で生データなし…東大 : 科学 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)

投稿者 hif1 : 20:33 | コメント (0) | トラックバック

COPD, Hct, prognosis

Prognostic Value of the Hematocrit in Patients With Severe COPD Receiving Long-term Oxygen Therapy -- Chambellan et al. 128 (3): 1201 -- Chest
COPDの患者さんでヘマトクリットと予後の相関を調べてみると、ヘマトクリットが高い方が予後が良いのだそうです。
COPDで酸素療法を受けている人の中で身体がキチンとerythropoietinを作って赤血球が増えていく人とそうでない人で予後が変わってくるという風に仮説を立てると科研費のネタが一つ出来ますね。

投稿者 hif1 : 19:08 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月11日

HIF-1aのSNP


Hypoxia-Inducible Factor 1{alpha} Polymorphism and Coronary Collaterals in Patients With Ischemic Heart Disease -- Resar et al. 128 (2): 787 -- Chest

ちょっと前に出ていた奴です。
SNPで冠状動脈の側副路の状態が異なるという報告です。
まあこういうのもあるでしょうね。だからといってどうすればいいのかわかりませんけど。
ある特定のガンでこういったことを調べるとかあらゆる現象と結びつけた研究が可能で実際いくつかは学会や論文として出ていますよね。毎日こんなことやっている研究者の方々もホント大変だと思います。

でもこういう研究が主体になるようだとぼくなどはお払い箱ですね。まったく興味を持てませんから。


投稿者 hif1 : 21:22 | コメント (0) | トラックバック

Sep 11

今年もSep. 11がめぐってきました。当時米国の東海岸に住んでいたので直接の被害は無かった我が家でも一連の出来事はいまでも話題に上ります。
当日はBaltimore市も快晴でした。いつものように7時前に研究室に到着して実験の準備をして電気泳動をはじめたくらいの時にTwin towerに飛行機が衝突したという話がlabで広がり皆でInternetでそのnewsを確認しました。程なく二機目のnewsが流れ事故では無いことがはっきりしてきました。結局ペンタゴンにも一機とペンシルベニアで原因不明の航空機の墜落がnewsとして伝わってくるに及び誰の犯行かはわかないまでもこれはテロであるという認識をみなが持つようになっていました。BaltimoreはペンシルベニアとDCの途中に位置しBaltimoreが標的にされるとしたらJohns Hopkins Univ.でのシンボル的なDomeがその第1候補であるという噂もささやかれていました。

ぼくはといえば、電気泳動を終えgelを乾燥させオートラの準備をして帰宅する頃には午後3時くらいにはなっていたと思います。I83を北上するわけですがほとんど他の自動車が走っていないことに気付きました。このような自体では家族で固まると言うことが彼らの行動様式なのだなと考えました。

炭疽菌騒ぎが近くの郵便局で起きたとかくらいで日常生活が影響を受けたと言うことはありませんでした。飛行場で人を出迎えるときにゲートまで入ることができなくなりました。影響としてこれが個人的には一番大きかったような気がします。
情報はほとんど新聞から得ていました。New York Times は長い期間にわたって報道を立体的に続けていたと思います。現在でも当時の記事などにアクセスできます。このころから時間もあったということもありかなり熱心なNYTの読者になりました。少なくともいま日本で新聞を読む時間よりはるかに長い時間を新聞を読む時間に割いていたと思います。

以上、選挙の影響か今年に限っては日本では忘れ去られているSep. 11に関するエントリーでした。

投稿者 hif1 : 21:07 | コメント (0) | トラックバック

Jobs氏の講演

昨日書店で"アエラ”を立ち読みしたらApple computerのipod携帯電話の記事がありました。記事自体は、意味のあるようなものとは思えませんでしたが、その記事の下の囲みには興味を引かれました。今年の6月、米国のStanford大学の卒業式でApple CompuertのSteven Jobs氏が講演というか祝辞を述べてその内容の抄録が掲載されていました。
以下から現在でも読むことができます。
'You've got to find what you love,' Jobs says

けっして難しい英語ではありません。読んでみたら良いと思います。

投稿者 hif1 : 20:08 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月08日

不思議

Induction of interleukin-8 preserves the angiogenic response in HIF-1a deficient colon cancer cells - Nature Medicine

HIF-1aをノックダウンすると低酸素下でのNF-kBの活性化が促進されるというのはおもしろいがよくわからない現象だ。
どれくらいの普遍性があるかがもんだと思う。

全部HIF-1で説明するのは当たり前だができないよね。

投稿者 hif1 : 11:19 | コメント (0) | トラックバック

CX717があれば当直明けでも大丈夫!?

AMPA受容体のmodulatorをAmppakineと呼ぶのだそうですが数あるampakineの中でCX717という薬剤が断眠後の作業能力の低下を防ぐというサルを用いた研究です。
断眠すると脳の特定の領域の活動が低下し認知能力や短期記憶能力が落ちるのだそうですがこの薬を投与しておけばばっちり大丈夫というわけです。
ヒトでの治験もすでに始まっているそうです。
PLoS Biology: Facilitation of Task Performance and Removal of the Effects of Sleep Deprivation by an Ampakine (CX717) in Nonhuman Primates

投稿者 hif1 : 10:29 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月06日

出版されました

Hypoxia reduces constitutive and TNF-alpha-induced expression of monocyte chemoattractant protein-1 in human proximal renal tubular cells. BBRC, vol. 335, pp1026-34
以前acceptされた論文が出版されました。
Liさんおめでとう。


Chronic hypoxia has been reported to be associated with macrophage infiltration in progressive forms of kidney disease. Here, we investigated the regulatory effects of hypoxia on constitutive and TNF-alpha-stimulated expression of monocyte chemoattractant protein-1 (MCP-1) in cultured human proximal renal tubular cells (HPTECs). Hypoxia reduced constitutive MCP-1 expression at the mRNA and protein levels in a time-dependent fashion for up to 48h. Hypoxia also inhibited MCP-1 up-regulation by TNF-alpha. Treatment with actinomycin D showed that hypoxic down-regulation of MCP-1 expression resulted mainly from a decrease in the transcription but not the mRNA stability. Immunoblot and immunofluorescence analyses revealed that treatment with hypoxia or an iron chelator, desferrioxamine, induced nuclear accumulation of hypoxia-inducible factor-1alpha (HIF-1alpha) in HPTECs. Desferrioxamine mimicked hypoxia in the reduction of MCP-1 expression. However, overexpression of a dominant negative form of HIF-1alpha did not abolish the hypoxia-induced reduction of MCP-1 expression in HPTECs. These results suggest that hypoxia is an important negative regulator of monocyte chemotaxis to the renal inflamed interstitium, by reducing MCP-1 expression partly via hypoxia-activated signals other than the HIF-1 pathway.

投稿者 hif1 : 10:00 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月05日

”未亡人の一年"

未亡人の一年 (上)が文庫本で出ました。
5年前くらいに
未亡人の一年〈上〉
として出ていたのですが高いので買わなかった翻訳です。
アービングのこの小説には思い出があります。アメリカで暮らしはじめたときに本屋で平積みになっていた本なのです。New York Timesのbook reviewでもかなり長い間ランクインしてたと思います。
その時読んだ以来翻訳が出たのは知っていたのですが、値段の問題で買いませんでした。今回文庫本になったのを機会に読み直しています。やっぱりぼくの読解力より翻訳家のものは優れていて非常に楽しめます。
第四の手よりは数段楽しめますので読んでみてください。映画にもなるそうです。

投稿者 hif1 : 22:34 | コメント (0) | トラックバック

HTLV1-1とATL

Oncogeneという雑誌があります。
ガン研究の専門誌ですが必要があり毎号眼は通しています。

最新号Oncogene - vol. 24 n. 39 はHTLVの特集号です。HTLV-1とはhuman T-cell leukemia virus type -1でATL(adult T-cell leukemia)の原因ウイルスです。
ATLは1974年に淀井らにより報告された後(Letter: Two cases of T-cell chronic lymphocytic leukemia in Japan.)、内山らにより Blood誌に16例の報告をもって単一の疾患概念として提出された病気です。(Adult T-cell leukemia: clinical and hematologic features of 16 cases.
このATLの疾患概念の確立とウイルスの同定・単離( Proc Natl Acad Sci U S A. 1981 Oct;78(10):6476-80, Proc Natl Acad Sci U S A. 1982 Mar;79(6):2031-5.)は日本医学が世界に誇る金字塔だと思っています。私見によればこれは日本医学における空前絶後の業績だと思います。
興味のある方は麻酔科医であってもこの号のreviewを読んでみてください。

投稿者 hif1 : 22:18 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月03日

"Why Most Published Research Findings Are False?"

PLoS Medicine: Why Most Published Research Findings Are False
また捏造のネタかと思いましたがこれは違います。
多くの研究がサンプルのサイズとかそういった研究のデザインが未熟なため”誤った”結論を道揖斐いている場合かがると言うことを考察しています。数式が入ったりしてすこし読むのが難しいですがおもしろい論文です。

投稿者 hif1 : 23:21 | コメント (0) | トラックバック

afでは血圧を下げて

Perindopril-Based Blood Pressure-lowering Reduces Major Vascular Events in Patients With Atrial Fibrillation and Prior Stroke or Transient Ischemic Attack -- Arima et al., 10.1161/01.STR.0000181115.59173.42 -- Stroke
afの患者さんの血圧をACE inhibitorを用いて7.3/3.4mmHgほど降下させると、major vascular eventsが38%、strokeが34%の発生率が下がるそうです。
だから抗凝固療法と共に血圧降下療法をしたほうがいいと結論しています。


投稿者 hif1 : 23:15 | コメント (0) | トラックバック

65/72

おとといに続き今日も勤め先の当直です。
結局木曜日の朝から日曜日の朝まで72時間の内、7時間だけ家で過ごしただけで残りの65時間は職場にとどまってたということになりそうです。
こういった生活が健康に良いとは思いませんし”非人間的”と言う人もいるかも知れませんががしょうがないです。
幸い今まで朝から緊急の仕事は入ってきていないのでcomputerの前に座って作業が継続できています。

何とか今日中に二つ仕上げてしまいたいです。

投稿者 hif1 : 17:39 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月02日

全身炎症のネットワークに基づく解析

"Nature"と言えばなんと言ってもチンパンジーゲノムの話ですが密かにこんな論文も出ています。
A network-based analysis of systemic inflammation in humans : Nature
この論文には驚きました。
ヒトにLPSを打ってリンパ球の中の遺伝子動態を解析しています。
ただ単にmicoarrayで解析するのでなく、特別なアルゴリズムをもちいて遺伝子同士の関係付けを行いそのスコア?にもとづきマップを書いていることです。
こんなのでるとネズミを使った実験なんてなんか意味あるのかとも思いますがどうなんでしょうか? ぼくはネズミを使った実験はしないので何とも言えませんけど。
なんせこの論文はすごいは。

著者はづらーっと外科医です。


投稿者 hif1 : 21:39 | コメント (0) | トラックバック

糖尿病ー神経疾患ー細胞融合

From The Cover: The fusion of bone-marrow-derived proinsulin-expressing cells with nerve cells underlies diabetic neuropathy -- Terashima et al. 102 (35): 12525 -- Proceedings of the National Academy of Sciences

糖尿病で引き起こされる神経障害の原因はいままでいろいろな説が唱えられています。高血糖により蛋白質が修飾を受けその結果さまざまな細胞機能が障害を受けるという経路も知られているし、PKCの異常活性化や、神経栄養因子が枯渇することが原因なんだという説もあります。
今回滋賀医大の研究者はこれらの他の糖尿病性神経障害の分子機序に関する報告をしました。
実験的にネズミに糖尿病をつくるとproinsulinを産生している、bone-marrow-derived (BMD)と彼らが呼ぶ細胞が血中に出現するそうです。このBMDが脊髄の神経細胞と細胞融合を起こしその結果、最終的に神経細胞が細胞死にいたるという経路をあることを報告しています。
なかなか興味深い説と言えると思います。

投稿者 hif1 : 16:33 | コメント (0) | トラックバック

2005年09月01日

数学の事情

今日は当直です。
さっき最後の麻酔が終わりました。このまま明日の朝まで何もないことを祈っています。

京都大学付属図書館のofficial bulletinは”静脩”と言います。
vol.41 no2/3の特集は
"特集 学術情報・電子ジャーナルシンポジウム
でした。
京大図書館主催の同名のシンポジウムの内容をまとめたものです。
今日偶然に目にして非常にためになるよい特集だと思いました。

基調報告の一つ
国際学術情報流通基盤整備事業の現況
国立情報学研究所教授   安 達 淳

は日本の学会がだす雑誌をいかに強くするかという内容です。
麻酔学会のえらい人たちも、これを読んで様々な努力をすべきだと思いますね。

さておもしろかったのは数理研の森重文先生の話です。
数学では


数学論文の特徴ということで言いますと、
論文の引用半減期、寿命だと思っていただければ
よいのですが、これが非常に長い。他の分野と比
べて非常に長い。具体的な数字は、統計資料と言
われると分かりませんが、たとえば数十年前の論
文とか100年前の論文が、歴史的価値でなく、学
術的理由で引用されるということが日常茶飯事で
す。その当然の帰結ですが、バックナンバーの利
用度が高い。

とのこと
また

一方、例えば物理で
Physical Review Letterという雑誌はページ数
が非常に多くて、年に何千ページという量が出る。
研究者はそれを読むことを期待されている。そう
すると、何千ページか読みますと、他のものは何
も読めません。評価してもらうためにはそこに投
稿するしかないという状況の様です。それに比べ
ると、数学というのは、ひとつには寿命が長いし、
数学者は極楽トンボなのかもしれませんけど、ち
ゃんとした仕事をして、ちゃんと発表しておけば、
ちゃんと評価される。そういう能天気なやり方で
やってきて、実際にそれで機能してきています。

なのだそうでうらやましいです。

もっとも数学などは特権的な学問で、大学の数学教室に属する人たちはそれだけですでに選ばれた人たちだという事情もあるかも知れません。
医学、生物学など別に大した才能など無くとも何とか論文を出すことはできますし、だからこそ”差”をつけるためにimpact factorとか計算せざるを得ないと言うような寒い現実があるのではないかと思います。

この号の”静脩”は
静脩目次 Vol.41
ここから読めます。

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