« 2005年11月 | メイン | 2006年01月 »

2005年12月31日

honesty in science

研究ということから今年を振り返れば一番の重大なポイントは学問の誠実性だと個人的には思います。
年末にbreakoutしたES cellにまつわる一連の報道には度肝を抜かれましたが、日本でもいくつかの事例が明らかになりました。

科学研究が研究を遂行する研究者のhonestyに依存するしかないと個人的には考えています。
不正行為を働いた研究者にペナルティーを科す仕組みをいくら作ったからといって不正を根絶することはできないでしょう。研究者はさまざまな個人的な動機づけに動かされて研究を継続しています。ある人は、単純に出世したいため、また神の作った秩序に支配される森羅万象の原理を明らかにするために研究に取り組んでいる人もいます。
医療の世界にしても、すべての価値の根源としての人の生命に奉仕する目的で働いている人もいるし、身もふたもないお金が目的も人もいるでしょう。この場合でも医療従事者個人個人の生命に対する畏敬が最終的な防波堤になっているはずですしそこに依存する以外にはどうしようもないわけです。
つまりどんな制度をつくっても絶対的に不正は根絶できないのです。
ぼくはしかし制度をつくることに反対しているわけではありません、一応念のため。

といっても研究の世界と言うのは意外どころか当たり前に狭く、大多数の人にとっては東大論文問題:RNA第一人者・多比良教授を処分へ−−裏付け資料出せず何がどうなっているのか多分解らないと思います。

さて今年もお終いですが、


去年今年貫く棒の如きもの

の心構えでやっていこうと思います。

投稿者 hif1 : 23:44 | コメント (0) | トラックバック

淡々と記述しろ!?

今年最後(と思っていたら最後から二番目)にA群β溶血性連鎖球菌による壊死性筋膜炎のdebridementの麻酔を担当しました。
経過とか症状は典型的なものなので学会とかで発表する価値はないと思います。といってもかなり印象強い症例でした。

麻酔中、麻酔後Internetで資料を調べていて気づいたことがありこれから考えてことを書いてみようと思います。
学会の抄録の扱い
Internetが普及してしばらくは学会の抄録がまるまるnetで閲覧できる時期がありました。例えば外科学会の抄録を会員でないぼくが視ることができました。麻酔科学会でも会員でない人も読めるようになっていた時期があると思います。その後、抄録は非公開か会員であることが認証された後でないと読むことができないようになりました。個人情報の保護、権利の保護などが主たる理由だと思います。
しかしこのような状態はある観点からは問題があります。
壊死性筋膜炎の麻酔管理を含めた治療法に関しては相当数の症例報告がなされていると思いますがnet上にあっても閲覧が可能な状態ではありません。
いくら個人的な情報が含まれていると言っても改善の余地はあると思います。

公開するために記録する重要性
医局単位でも症例報告というのは週にいくつかは行われています。たいていは研修医が報告して何らかの議論が行われてそれでお終いということになりますが、tagをつけてネット上に公開すれば膨大な資産が利用可能になります。学会が音頭をとってこのような報告をプールする枠組みを作り、また登録に何らかのインセンティブを与えたら学会でのスペースをsaveすることにもなり報告自体も生かされると思います。
ということは


経過とか症状は程度は甚だしいが典型的なものなので学会とかで発表する価値はないと思います

という態度も批判されなくてはいけないかも知れません。

投稿者 hif1 : 19:39 | コメント (0) | トラックバック

神武天皇のY染色体

What Japan's Aiko Lacks: The Royal Y Chromosome - New York Times
NYTにこんな記事が出てました。
生物学的にはあまり根拠のない話なので学者の発言は公式には皆無だと思います。
多分どなたが天皇になっても何もかわらないのでは無いかと思います。
づっと天皇制続けるのかどうかということが問題だと思うけど。


投稿者 hif1 : 10:21 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月29日

Whole-Brain Radiation Therapy

Phase III Study of Efaproxiral As an Adjunct to Whole-Brain Radiation Therapy for Brain Metastases -- Suh et al. 24 (1): 106 -- Journal of Clinical Oncology
ヘモグロビンの酸素親和性を調節する Efaproxiralという薬剤を用いて脳腫瘍の放射線療法の効率を変えるというお話しです。
びっくりしました。


投稿者 hif1 : 11:37 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月26日

今年の新書から

新書best3

桜が創った「日本」―ソメイヨシノ 起源への旅
桜をめぐる知的冒険

宝塚というユートピア
逸翁美術館という美術館が大阪府池田市にあります。小林一三の邸宅あとです。たまに無料で入れるときがありますがその時に見学しています。ぼくの住んでいるアパートに壁が接しています。

下流社会 新たな階層集団の出現
とくに説明の要がないくらいに話題になっている新書
値段の価値は十分あると思います。

投稿者 hif1 : 22:24 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月25日

今年のfictionから

今年のベスト3-fiction-
といっても大した量の新刊本を読んだわけでないです。
告白
best
自己にとっての正義を実現できないままに破綻する主人公に共感する。
多分これからも何度も読み返すことになると思う。

河岸忘日抄
堀江敏幸

ぼくと誕生日が同じ。でも一年違い。

風味絶佳
こちらも谷崎潤一郎賞。


短編一つなら
"品川猿"を上げておきます。
東京奇譚集の中の一作。

読みたいと思っているけど読んでいない本
-図書館で借りるchanceがないのが理由です-
半島を出よ
永遠の旅行者
そのうち読みますよ。

投稿者 hif1 : 20:00 | コメント (0) | トラックバック

"生命(バイタル)徴候(サイン)あり"

今日気づいたのですが週刊朝日で久間十義さんが
"生命(バイタル)徴候(サイン)あり"という題名の小説を連載しています。
主人公は麻酔科の女医さんでなんと初めての心臓手術で患者さんが亡くなってしまうという運命にみまわれその後..と言う内容です。
舞台は心臓手術で有名な日本女子医科大学と言うことになっています。

連載は11/25号からです。石原さとみさんの表紙の号です。
図書館でまとめて読んでみたらいかがでしょうか。

投稿者 hif1 : 16:36 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月24日

"Breakthrough of the year"

Science/AAAS | Table of Contents: 23 December 2005
米国の雑誌Science誌が毎年最終号で特集する"Breakthrough of the year"今年は、”evolusion"です。
進化ってなにか今年大発見があったの? と改めて問いたくなるのですが、chimpanzee genomeを初めとした様々な生物種のgenome projectがでそろい進化論を検証する基盤がそろったと言うことなのですがしきりにDarwinのThe Origin of Speciesの偉大性を強調しているあたりは、米国で根強いanti-evolutionismやIntelligent designの信奉へのantithesisかな。
日本は今西進化論、木村資生氏の中立進化論や池田清彦らの構造主義的進化論など多彩の貢献をしています。
中立進化論はノーベル賞の価値があると思いますが、残念ながら進化ではノーベル賞は出ないことになっているようですし木村先生がすでにお亡くなりになっておられると言うことでこれは無理ですね。
genome projectを基礎とした進化研究から、中立進化論を補強するものが出てくるのではないでしょうか。

投稿者 hif1 : 18:26 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月23日

”わかる”とは

柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida "細胞はまだ作れない"
時間ができたので書いてみます。
柳田先生のblogで先生が


生命科学は進歩したと喧伝されてますが、それほどでもありません。
細胞を人工的に作ることができないのです。
簡単そうでいて、本当は非常に難しいのかもしれません。あと10年もすればできるのか、それとも50年くらいかかるのか。それすら分かりません。

と書いておられます。
同じ意味のことをすごく以前に養老孟さんが書いているのを読んだことがあります。例えば眼を本当に理解したと言うことはどういう事か、人工の眼を作れるとしたらそれは眼を理解したといって良いだろう。人工の細胞を作れるとしたらそれは細胞を理解したといってよいだろうという議論だったと思います。
”理解した””わかった”と言うことをこう置き換えられる場合は話が早いしわかりやすいですが、理解する対象が”こと””現象”である場合はややこしいです。
例えば、意識を無くす方法がわかったとしても麻酔の作用機序を理解したとはいえませんね。残念ながら。でも患者さんの麻酔をすることはできます。

投稿者 hif1 : 22:29 | コメント (0) | トラックバック

"ラッセルのパラドックス"

を読み終わりました。 ぼくの住んでいる街の市立図書館は岩波新書はほとんど買ってくれるので重宝しています。 あまりおもしろかったので保存用に一冊購入しました。 年末年始の頭の体操にみなさんも是非お読み下さい。 著者の三浦先生のpageもおもしろいですがデザインがなー これを機会にきれいにしてみられたら良いのに.. ここです Miura TOSHIHIKO's World (三浦俊彦の世界), designed by Akiyoshi MATSUSHITA.

投稿者 hif1 : 20:54 | コメント (0) | トラックバック

BMJのお楽しみ号

今日も丸一日勤め先の当直です。あと12時間ぼくの時間です。
ある程度予定通りの自分の仕事ができたのでさっきからネットサーフィンしてました。
いろんな雑誌を読み飛ばしているのですが一つ紹介します。

bmj.com Table of Contents (December 24 2005, 331 [7531])
今週号のBritish Medical Jounalは毎年恒例のお楽しみ号です。
On the caseと言う特集では、医者の診断術と推理小説に登場する探偵の用いる推理法との類似が論じられています。
古今の探偵があげられ特徴的な推理上の技法で分類されています。


Sherlock Holmes aphorisms

•You see, but you do not observe
•You know my method. It is founded upon the observation of trifles
•Never trust to general impressions, my boy, but concentrate yourself upon details
•It is a capital mistake to theorise before one has data. Insensibly one begins to twist facts to suit theories, instead of theories to suit facts
•There is nothing like first-hand evidence
•There is nothing more deceptive than an obvious fact
•The world is full of obvious things which nobody by any chance ever observes
•When you have eliminated all which is impossible, then whatever remains, however improbable, must be the truth


としてホームズの言葉がいくつか提示されています。ドイルというのは実際どれくらいの名医であったのでしょうか。少なくとも方法論の大家であったことは間違いないと思います。

その他二日酔の予防法についてのreview
Interventions for preventing or treating alcohol hangover: systematic review of randomised controlled trials -- Pittler et al. 331 (7531): 1515 -- BMJ
もあります。
Obesity: the elephant in the corner -- Ogilvie and Hamlet 331 (7531): 1545 -- BMJ
も楽しい。
プラトンの対話編よろしくソクラテスが登場します。


投稿者 hif1 : 20:20 | コメント (0) | トラックバック

すごくくやしい

Mouse model for noninvasive imaging of HIF prolyl hydroxylase activity: Assessment of an oral agent that stimulates erythropoietin production -- Safran et al., 10.1073/pnas.0509459103 -- Proceedings of the National Academy of Sciences

投稿者 hif1 : 18:27 | コメント (0) | トラックバック

とても重要

Cell -- Selective Evolution of Stromal Mesenchyme with p53 Loss in Response to Epithelial Tumorigenesis. Hill et al.
もう一度しっかり読んでみます。

投稿者 hif1 : 10:52 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月21日

局所的なシグナル伝達とROS

Subcellular targeting of oxidants during endothelial cell migration -- Wu et al. 171 (5): 893 -- The Journal of Cell Biology
以前に考えたことはあったが、ここまできれいに解析されると脱帽です。

投稿者 hif1 : 19:46 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月20日

NYTでも紹介されていました。

Feedback: Relief From Chronic Pain May Be a Thought Away - New York Times
12/14に紹介した”修行で痛みを乗り越える”の論文NYTでも紹介されていました。

投稿者 hif1 : 20:36 | コメント (0) | トラックバック

いろんなのがでてきます

Hypoxia-Regulated Expression of Attenuated Diphtheria Toxin A Fused with Hypoxia-Inducible Factor-1{alpha} Oxygen-Dependent Degradation Domain Preferentially Induces Apoptosis of Hypoxic Cells in Solid Tumor -- Koshikawa and Takenaga 65 (24): 11622 -- Cancer Research
いろんなタイプが出てきてますが、こうなると数パーセントの効率の差や導入効率また精製の効率の差が臨床で患者の治療に使われるためのpathに乗るか乗らないかに決定的な重要な役割を演じるのだろうな..

投稿者 hif1 : 09:44 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月17日

クライマーズハイの後編

12日にテレビドラマ、クライマーズハイを観ての自分の感想を書いてみました。
今日、後編が放送されました。
佐藤浩市の編集者としてのふがなさが、研究者としての自分の至らなさとだぶって考えさせられました。
自分たちの見つけたおもしろい現象をとことん追究していくだけの度胸というか自信がないのでやるべきことができないのだと思うことがあります。

投稿者 hif1 : 20:22 | コメント (0) | トラックバック

Consciousness unbound

hypoxia research::blog: 眠ると意識がなくなるのはなぜか?
で論文を一つ紹介させて頂きました。
最新号のScienceでこの論文に対してのコメントが掲載されています。
Cognitive Unbinding in Sleep and Anesthesia -- Mashour
です。
Mashour氏はMGHの麻酔科のヒトでAnesthesiologyに"Consciousness unbound"という総説も発表しています。以前に読んだことがありますが、仮説を述べたものであるという印象を持っていました。ただ彼が考えていることは、紹介したScienceの論文の主張のうち睡眠を麻酔に読み替えて検証することは可能だと思います。

投稿者 hif1 : 19:14 | コメント (0) | トラックバック

Critical Care Medicineの特集

Critical Care Medicine - December 2005, Volume 33, Issue 12
CCRのこの特集はとてもよいかも。
でもひとつひとつはすこし浅いです。

投稿者 hif1 : 09:58 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月16日

麻酔と睡眠の類似性

Cognitive Unbinding in Sleep and Anesthesia -- Mashour
麻酔と睡眠の類似性についての仮説
いかに証明するかが大切

投稿者 hif1 : 19:52 | コメント (0) | トラックバック

natural high

さっきまで麻酔をしてました。
天気も良いし気分はとてもhighなのですが、またこれら一日、麻酔だと思うとすこしつらいです。

投稿者 hif1 : 07:47 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月14日

in pressになりました

Regulation of Angiogenesis by Hypoxia-Inducible Factor I

Kiichi Hirota and Gregg L. Semenza

Critical Reviews in Oncology/Hematology, in press
です。

書くのに苦労しましたけど結構いい総説だと思います。
abstractは以下にあります。


Hypoxia is an imbalance between oxygen supply and demand that occurs in cancer and in ischemic cardiovascular disease. Hypoxia-inducible factor 1 (HIF-1) was originally identified as the transcription factor that mediates hypoxia-induced erythropoietin expression. More recently, the delineation of molecular mechanisms of angiogenesis has revealed a critical role for HIF-1 in the regulation of angiogenic growth factors. In this review, we discuss the role of HIF-1 in developmental, adaptive and pathological angiogenesis. In addition, potential therapeutic interventions involving modulation of HIF-1 activity in ischemic cardiovascular disease and cancer will be discussed.

投稿者 hif1 : 21:42 | コメント (0) | トラックバック

修行で痛みを乗り越える

Control over brain activation and pain learned by using real-time functional MRI -- deCharms et al., 10.1073/pnas.0505210102 -- Proceedings of the National Academy of Sciences
修行によりostral anterior cingulate cortexの活動をコントロール術を身につけpainを克服できるという方法があるという画期的な報告。凄すぎますね。

投稿者 hif1 : 21:33 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月12日

クライマーズ・ハイ

先週の土曜日(12/10)に横山秀夫氏のクライマーズ・ハイを原作としたテレビドラマがNHKで放送されました。当直だったのですが録画しておいてもらい今日家で観ました。原作は読んだことがなかったのですが、心を動かされるドラマでした。
主人公を佐藤浩市さんが演じているのですが、新聞記者としては優等生とは言い難い人物として出てきます。
20年前の日航機墜落事故をめぐる群馬県の地方新聞社がドラマの舞台です。
地方新聞と中央新聞の対立や新聞社内の上司と部下の確執とかそういったことを織り込んでドラマが進んでいきます。
観ていくと新聞の世界と研究の世界に類似点が多いなと自分には思えてきました。
事件、事故に対する対応も地方紙は中央紙と竹槍をもって戦わないといけないとかそのような言葉が出てきます。
最も身につまされたのは、ある記事の扱いをめぐって主人公とその上司役の岸部一徳が焼き肉屋でやり合うシーンでした。
主人公が、負けた自分たちを卑下するのですが、上司は新聞記者などどこの社でも同じだ、大きくても小さくても取材をして記事にするという作業は同じ、でっかい相手から取材できればでっかい記事になるがそれは、そいつが凄い記者だという証明にはならない、地方紙の記者が負けたなどと思ってもそれを口に出して言い訳とか自分たちを卑下してはならないと反論するのです。
麻酔科などの臨床科にいて、日勤も当直も緊急手術もこなしながら、外国や基礎の教室で毎日研究に取り組んでいる研究者と渡り合うことが果たしてできるのか。どうやればそれが可能になるのか。といった自問自答を繰り返しながらやっています。それでも抜かれることが多い。ネタは一緒でも大したことのない論文を発見した場合落ち込みも小さいですが、見事まるまるN誌の姉妹紙とかに出てきたら凄く落ち込みます。こっちだって一年はやっているし、関わっている院生もいるんだしね、とおもっている自分への言葉の様な気がしました。最近では雑音を立つために生化学学会とか分子生物学会などにも出席していません。というか出席できる環境にも無いのですが。
まったくダメデスクの佐藤浩市が今の自分です。
ここ数年でいろんな研究環境を渡り歩いています。留学していたJohns Hopkinsのlab.。帰国してから一年半いた某省系の独立行政法人の研究所。研究所にいたときは当直も緊急もなく、さらに裁量労働制などとと言う魔法の仕組みにより日に一時間勤務したらその日一日勤務したと見なすとかいうふざけた制度に乗っかって好きにやっていました。そんな職場から、市中病院の旧手術室跡の研究室で麻酔をしながら一年半やってから今の職場に移りました。なぜか今より市中病院でやっていたときのほうがうまく行っていたのが不思議です。
お金と時間があれば、でっかいことができるのは当たり前だ。そうでなくとも何とか前進いきたいね。
今週の土曜日に後編があります。

投稿者 hif1 : 03:47 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月11日

extracellular adenosine

HIF-1-dependent repression of equilibrative nucleoside transporter (ENT) in hypoxia -- Eltzschig et al. 202 (11): 1493 -- The Journal of Experimental Medicine

これはおもしろい!!
Colgan氏のグループは一連の研究で低酸素ーHIF-1-粘膜バリア的なテーマでやっていて注目しています。
BWHの仕組みはよく解らないのですが大きな分類では麻酔科領域に入ってくるのでしょうか。
アデノシンだけですべては説明できないにしても実験手法などはぼくには参考になります。

投稿者 hif1 : 20:28 | コメント (0) | トラックバック

抑制T細胞と多田富雄先生

先週、NHKで放映された多田富雄先生の番組を見た方はいらっしゃったでしょうか。一般向けの内容でしたが、伝わってくるものはあったと思います。
ぼくは免疫学の領域ではずぶの素人ですが多田先生などが提唱されて一斉を風靡してその後一度は歴史から消えかけた抑制T細胞(Ts)の話は大体理解しています。今はTsというよりTrの時代ですがここら辺の学問の流れは免疫学ならではのダイナミックな物があります。日本免疫学会のニュースレターでは以前にこのTsに関する特集をしたことがあります。多田先生、石坂先生、谷口先生、坂口先生などの日本での主役ないし重要登場人物が当時を振り返りまた未来を展望した文章を寄せています。これは必読と思います。
ここからです
日本免疫学会会報VOL.11, No.1(通巻20号)

投稿者 hif1 : 03:51 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月10日

12月26日

今日気付いたのですが、あの池谷裕二さんが京大で講演なさるようです。

魔法の発音 カタカナ英語
などはとても良い本ですね。
Israelとかはイズリオといえば通じるし、Connecticutはカナディカと言えばというか言わないと通じないといった事がたくさんありこの本はその集大成ですから。
時間があったら本をもってサインしてらおうかとも思っているのですが恥ずかしいような気もするしどうしよう。

投稿者 hif1 : 22:43 | コメント (0) | トラックバック

オピオイド鎮痛に拮抗するシステムの同定

The prolactin-releasing peptide antagonizes the opioid system through its receptor GPR10 - Nature Neuroscience
痛みの処理系は底知れないほど複雑ですね。
こればっかしは細胞を用いた実験で解決できるものではないな。

投稿者 hif1 : 19:34 | コメント (0) | トラックバック

あと12時間

あと12時間で当直お終いです。
木曜日の朝に病院に出て、木曜日は当直。金曜の朝から午後8時過ぎまで麻酔その後12時間後の今日の朝から当直で現在に至ってます。
木曜日の夕方から金曜日にかけてのぼくの責任時間にも緊急手術はありませんでした。これだけ長い時間緊急手術がないのもめずらしいです。このまま明日の朝まで行くのか、いつものように夜中にやっぱり働いているのか、どっちでしょうか。

かなり詰めて自分の仕事ができたので今日はもういいです。

投稿者 hif1 : 19:23 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月07日

ぼくには少し難解

Hypoxia inducible factor 1{alpha} regulates T cell receptor signal transduction -- Neumann et al. 102 (47): 17071 -- Proceedings of the National Academy of Sciences
一読しただけでよく理解できなかったのですが、気合いを入れて読む価値がありそうな気もします。

投稿者 hif1 : 21:00 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月06日

Jobs氏のスピーチの音声ファイル

以前Apple社のSteve Jobs氏がStanfornd大学でしたスピーチの事を取り上げました。
hypoxia research::blog: Jobs氏の講演
今日あるblog(研究留学ネット-What's new!: Jobs' Speech @ Stanford University )を見ていたら、スピーチが音声fileになって公開されていることを知りました。
早速iPODに入れました。

門川さんありがとうさん。

投稿者 hif1 : 20:15 | コメント (1) | トラックバック

顔面移植のその後

A Pioneering Transplant, and Now an Ethical Storm - New York Times
顔面移植もやはりいろんな問題を引き起こしているようですね。

投稿者 hif1 : 17:56 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月05日

こんなの出てます

Yahoo!ニュース - 共同通信 - 医学研究科の6専攻を統合 京都大、12コースを新設
どこまでいけるかな。

投稿者 hif1 : 18:14 | コメント (0)

北山は雪

朝、研究室の窓から見たら北山が白い。
確実に冬だね。

投稿者 hif1 : 06:33 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月04日

"分子生物学のもつ浅薄さ"

"分子生物学のもつ浅薄さ"
というエントリーが柳田先生のblog(柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida)にありました。

いつも考えていることとよく似ていたのでおもしろく読めました。

ぼくはずっと分子生物学という方法論に依って研究を進めてきました。
この学問は、ある分子、蛋白質、DNA、RNAの性質を調べることにより生命現象を説明しようと言うものです。決して分子生物学を用いた研究がそれ以外の方法論と比較して高尚と言うわけでもないし低級と言うわけでもないと思います。要するにタダの方法論なのです。しかしこれを用いると何か”解った”という気になることがあるわけです。ぼくは分子生物学を培養細胞に適応して、細胞の生理を主に追究していましたが最近は日和ってそこら辺に転がっている薬剤を使った薬理学的なこともやっています。このような方法論を個体に適応すればはやりのknockout mouseを使ったような仕事となるわけです。マウスを用いて精神というか心の問題を追究する研究者もいます。もっと卑近には、揮発性麻酔薬が心筋のpreconditioningをもたらす。あるリン酸化酵素の活性化がある分子生物学的な指標で確認された、またその酵素の”阻害薬”がpreconditioningを部分的に阻害した、ということをもってある酵素がそのpreconditioningに必須だ結論つける、といった具合です。
ここで”浅薄さ”を持ってくるととてもそぐうと思っています。
細胞の性質を論じているレベル程度ではなかなかそうは思われないのですが、ある遺伝子の変異で高次の精神的な問題例えばschizophreniaとか恋愛感情をネズミを使って説明しようとすれば誰が考えてもかなり””浅薄な”感じを受けると思います。
痛みの研究にしてもある単一の遺伝子で何かがすべて説明できると考えるのはかなり浅いし、その研究者が本気でそう思っているとすれば、その人はかなり単純な頭脳を持っている人であると思います。
しかし


とりあえず、新しい性質がみつかり、それで興味深い物語ができれば、それでその配役をしているものは、配役の役割以上のものとは思われないわけです。

ということもありまた

ひとつひとつのステップはたとえ浅薄のようにみえても、それらは力強いストリーを作り、それ真実であるかどうかが検証される。これが分子生物学の歴史でした。そのストリーは後から思えば浅さの目立つものとは言え、現に進歩している瞬間ではそのようなものは欠陥とは思われないのです。

ということが連綿と継続していくならかなり強いうねりというかストーリーが生まれてくると言うことになります。
医学研究ということになると究極の目的は、ヒトの疾患を予防したり、診断したりさらに治癒させる方法論を見いだすと言うことになると思いますが、そこまでたどり着けば”浅薄”とは言われなくなるのでしょうか。

こういった問題とhypoxia research::blog: 雑誌の記事からで紹介した”世界”の座談会の内容も無関係では無いと思います。

投稿者 hif1 : 17:28 | コメント (0) | トラックバック

"Illness as More Than Metaphor"

Illness as More Than Metaphor - New York Times

昨年の暮れに亡くなったスーザン・ソンタグの彼女の息子による闘病記録的なessay.
なかなか読み応えがあります。

タイトルは彼女の著作”Illness as metaphor"と"AIDS and Its Metaphors"に寄っています。

投稿者 hif1 : 16:10 | コメント (0)

顔面移植

Dire Wounds, a New Face, a Glimpse in a Mirror - New York Times
顔面移植の記事です

投稿者 hif1 : 15:42 | コメント (0)

多田先生の番組

12/4のNHKスペシャルは多田富雄先生を取り上げる予定のようです。説明の必要もないほど高名な先生です。現在では免疫学者と言うより文学の分野で旺盛に活躍しておられます。
石坂公成先生のJohns Hopkins時代のお弟子さんのお一人です。
見てみようと思っています。

投稿者 hif1 : 13:37 | コメント (0) | トラックバック

Sayuri

昨日家で久々にTVを観ていたら
SAYURI
が公開だそうです。
原作は
Memoirs of a Geisha (Penguin Joint Venture Readers S.)ですが、これはなかなかおもしろかったです。米国に行ったばかりの頃best sellerで書店でも平積みになっていました。買って読んでみましたがなかなうまく書けていて一気に読めました。帰国したら翻訳が出ていましたが、英語で読んだほうがおもしろいと思いました。英語が平易、単語も簡単文章が易しい、ので一気に読めます。
映画も外国人監督で、原作のtasteが残っているのでしょうか。つまり外国人が描いた日本という感じです。

投稿者 hif1 : 13:35 | コメント (0) | トラックバック

2005年12月03日

陪審員

米大統領、陪審員候補に…「仕事あるので」と日程変更 : 国際 : YOMIURI ONLINE(読売新聞)
たしかに無作為だ。
ぼくも陪審員としての召喚状をもらったことがあります。
居住者であっても米国市民でないので陪審員にはなれないのですが正当な理由無く出頭しないと罰が科せられるよとかそんなことが書いてあり少しびびります。因みに英語が不自由だというのも”正当”な理由です。

いったいどんな名簿を参照していたのか今だによく解らないのですが多分、運転免許だろうというような気がしています。


投稿者 hif1 : 09:55 | コメント (0) | トラックバック

動くほど損?

やっとさっき麻酔が終わりました。
さて毎日新聞の特集ですが今回は
MSN-Mainichi 「動くほど損」する日本
という題で流動性に乏しい日本の研究社会についての記事です。
ぼくなど今の研究場所で5つめです。
ここ5年だけでも3回移っています。ほぼ一年半に一回研究場所を移しているわけです。確かに退職金などあるかないかというほどしかもらえずボーナスも中途半端にしかもらえなかったのは事実です。これはこれで困ったものです。


投稿者 hif1 : 02:54 | コメント (0) | トラックバック