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2005年12月12日

クライマーズ・ハイ

先週の土曜日(12/10)に横山秀夫氏のクライマーズ・ハイを原作としたテレビドラマがNHKで放送されました。当直だったのですが録画しておいてもらい今日家で観ました。原作は読んだことがなかったのですが、心を動かされるドラマでした。
主人公を佐藤浩市さんが演じているのですが、新聞記者としては優等生とは言い難い人物として出てきます。
20年前の日航機墜落事故をめぐる群馬県の地方新聞社がドラマの舞台です。
地方新聞と中央新聞の対立や新聞社内の上司と部下の確執とかそういったことを織り込んでドラマが進んでいきます。
観ていくと新聞の世界と研究の世界に類似点が多いなと自分には思えてきました。
事件、事故に対する対応も地方紙は中央紙と竹槍をもって戦わないといけないとかそのような言葉が出てきます。
最も身につまされたのは、ある記事の扱いをめぐって主人公とその上司役の岸部一徳が焼き肉屋でやり合うシーンでした。
主人公が、負けた自分たちを卑下するのですが、上司は新聞記者などどこの社でも同じだ、大きくても小さくても取材をして記事にするという作業は同じ、でっかい相手から取材できればでっかい記事になるがそれは、そいつが凄い記者だという証明にはならない、地方紙の記者が負けたなどと思ってもそれを口に出して言い訳とか自分たちを卑下してはならないと反論するのです。
麻酔科などの臨床科にいて、日勤も当直も緊急手術もこなしながら、外国や基礎の教室で毎日研究に取り組んでいる研究者と渡り合うことが果たしてできるのか。どうやればそれが可能になるのか。といった自問自答を繰り返しながらやっています。それでも抜かれることが多い。ネタは一緒でも大したことのない論文を発見した場合落ち込みも小さいですが、見事まるまるN誌の姉妹紙とかに出てきたら凄く落ち込みます。こっちだって一年はやっているし、関わっている院生もいるんだしね、とおもっている自分への言葉の様な気がしました。最近では雑音を立つために生化学学会とか分子生物学会などにも出席していません。というか出席できる環境にも無いのですが。
まったくダメデスクの佐藤浩市が今の自分です。
ここ数年でいろんな研究環境を渡り歩いています。留学していたJohns Hopkinsのlab.。帰国してから一年半いた某省系の独立行政法人の研究所。研究所にいたときは当直も緊急もなく、さらに裁量労働制などとと言う魔法の仕組みにより日に一時間勤務したらその日一日勤務したと見なすとかいうふざけた制度に乗っかって好きにやっていました。そんな職場から、市中病院の旧手術室跡の研究室で麻酔をしながら一年半やってから今の職場に移りました。なぜか今より市中病院でやっていたときのほうがうまく行っていたのが不思議です。
お金と時間があれば、でっかいことができるのは当たり前だ。そうでなくとも何とか前進いきたいね。
今週の土曜日に後編があります。

投稿者 hif1 : 2005年12月12日 03:47

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