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2006年03月03日

月田さんと梅園さん

月田承一郎先生が亡くなりネットでもいろんな方が思い出を語ったり先生の業績、人となりを語ると言うことがあります。
私たちの医学部の同窓会は芝蘭会と言いますが、会報が定期的に発行されています。昨日一番新しいものが郵送されてきました。古瀬さんが月田先生への追悼文を執筆なさっておられました。とても良い文章で長い間一緒に研究を進めてこられた人ならではの文章だと思いました。
小さな小さなクローディン発見物語―若い研究者へ遺すメッセージも出版されました。科学を志す若い人たちは読んだ方がいいと思います。

月田先生とはぼくは個人的にはつながりは無かったですが、こういったときにいつも思い出すのは41歳で亡くなられた梅園和彦先生のことです。梅園さんがSalkから奈良先端大学院大学に移られてまもなく、当時進めていた研究の相談に上がったことがあります。時間をかけてぼくの話を聞いてくださり研究のアドバイスを頂きplasmidなども分けて頂きました。結局その仕事で論文がまとまり学位を取得することができました。ぼくは人の意見を聞かない人間で初めての論文が出るのに大学院の4年では足りず5年ほどかかりました。そこでまた半年以上ほっておいたので学位の取得にはさらに一年近くの時間がかかりました。学位の公聴会の日は長野オリンピックで清水選手が金メダルをとった日であったということはいまでも記憶しています。1997年のその論文はぼくの書いたすべての論文の中でいまだに引用回数が一番を更新中です。留学の時に頂いた奨学金などもどう考えてもその論文のおかげだとしか思えません。ウイルス研に移られてからも何度か酒席をご一緒させて頂いたこともありアイデアの柔軟さにいつも驚かされました。その体験以来アイデアを実現する実験系をどう構築すべきか、何かを証明するためにはどういった実験をすべきかということを意識するようになり、こういったプロセスを楽しむことがぼくのサイエンスの方法論となりました。
梅園体験はぼくにとって空前絶後のもので、ぼくにとって身近に存在した最高の科学者でした。いままでふらふらと研究を続けてこられたのも梅園さんの存在無くしてはあり得ないと思っています。

googleで検索してみましたが梅園さんの思い出などを語ったページはあまり見あたりませんでした。ぼくが一つは書いておく意味があると思いました。

奈良先端科学技術大学院大学 バイオサイエンス研究科には梅園賞というのがあるそうです。

投稿者 hif1 : 2006年03月03日 22:41

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