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無痛症の原因遺伝子

雑誌Natureの最新号にパキスタンで見いだされたあるタイプの無痛症ーと呼んでいいと思うのですがーの原因遺伝子を同定したという報告が出ています。
An SCN9A channelopathy causes congenital inability to experience pain : Abstract : Nature

この無痛症患者は、あらゆるタイプの痛み感覚は無いが熱い-冷たいなどの感覚はあり、発汗もするというタイプだそうです。neuropathyもない、つまりcongenital insensitivity to pain with anhydrosis やcongenital insensitivity to pain とは異なるタイプの無痛症であると言うことだと思います。
詳しいphenotypeは論文に記載されています。

因みにきっかけになった少年は、自分の無痛を利用した大道芸の芸人であったのだが屋根から飛び降りて死んでしまったのだそうです。
このタイプの無痛症の3家系を探しだしpositinal cloningの定法に基づき遺伝子を探す過程でSCN9Aという -subunit of the voltage-gated sodium channel(Nav1.7)をコードする遺伝子に変異を見いだしたという報告です。

今回の変異は、stop codonが生み出される変異だと言うことですが、この遺伝子で見いだされる様々なSNPが個人個人で非常にことなる痛みの受容と何らかの相関があったり、また同じタイプの別の遺伝子でもそのような現象が見いだされたりするとなかなかおもしろい展開になるのだと思います。

NYTにも出ています
Gene That Governs Pain Perception Is Found - New York Times

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2006年12月14日 18:15に投稿されたエントリのページです。

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