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2004年10月27日
A&A 2004年11月号から
fig.5の実験結果には、疑問がある。
また論理的にketamineが少なくともPKCの活性をもたらすことが示される必要があると思うがこのdataがない。
さらにどういった機序で作用するのかについての考察が一切ない。ketamineは水溶性が高くこのような物質が容易に細胞内に入るとは考えられない、つまり細胞表面に標的を想定するとしてそれが何かについて合理的な少なくとも推定をすべきだと思う。
これは結構おもしろい。
使っている資料が少し古いのが問題だが重要な視点を提供している。
Protein Kinase C Inhibitors Produce Mitochondrial Flavoprotein Oxidation in Cardiac Myocytes -- Kohro et al. 99 (5): 1316 -- Anesthesia
揮発性麻酔薬による虚血再灌流傷害に対する保護作用、これをpreconditioningと呼ぶ人もいる、を論じる際登場するmitochondrial ATP-dependent potassium channelですが、genome projectでヒトで発現している遺伝子がすべて解明された今でも実態が不明です。こんな物本当にあるのかと考えたくもなります。さてこのchannel実体もわからない上にchannelが開いているか閉じているかを見極める方法にいい物がありません。現在最も使われている方法は、ミトコンドリアのflaboproteinの酸化を蛍光式色素かなんかに置き換えて観察する方法です。この論文は、そこへのPKC inhibitorの影響を見たというわけです。
従来の報告とも異なる点もありいろんな言い訳をしているのですが、結局何が言いたいのかよく解りませんでした。
発想は
Reactive Oxygen Species Generated at Mitochondrial Complex III Stabilize Hypoxia-inducible Factor-1alpha during Hypoxia. A MECHANISM OF O2 SENSING -- Chandel et al. 275 (33): 25130 -- Journal of Biological Chemistry
ここらへんの感じですが、ここまでの解析が行われたわけでない。
dataが主張を支持しているとはいえない。この論文をこのタイトルで受理するのは雑誌として怠慢である。
投稿者 hif1 : 2004年10月27日 19:22
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