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2005年11月05日

雑誌の記事から

本当に久々に図書館に行ってきました。
読みたい本を借りることができ大満足。

雑誌のまとめ読みができこれまた大満足。

充実していたのは岩波書店の”世界”11月号。
特集は
特 集 総理専制政治とどう対決するか
どの論文も非常にタメになります。
それにしてもどうして皆自分から奪っていくような政策を掲げている政党に総選挙で投票したのでしょうか。いまだに謎です。

さらに出色は
”脳科学は教育を変えるか”
という座談です。
伊藤正男/榊原洋一/柳沢正史/河原ノリエの四氏の討論なのですがやはりというか一番歯切れがよいのは柳沢先生です。
内容は


いま、脳科学がブームである。学習概念を「脳が外界からの刺激によって神経回路を構築する過程」ととらえ、脳科学からの知見を教育に生かそうとする動きが出てきている。たとえば、「音読」や「百ます計算」が巷をにぎわしているが、脳科学の立場からはこれをどう評価すべきか。
 「脳科学と教育」というテーマを立てたとき、脳科学の現状では何がどこまでわかっていてどこまでわかっていないのか、脳科学が教育に貢献している分野(学習障害の問題など)においてどのような研究が進められているのか、という点について、まずきちんとおさえておくことが必須のはずである。そのうえで、ハードサイエンスと「似非科学」を見分け、脳科学を教育に生かすための「サイエンティフィック・リテラシー」を社会に根付かせるために、脳科学者にはどのような貢献ができるのかを考えなければならない。

こんな感じ。

とにかく「似非科学」が多すぎますよね。旧国立大学の教授が税金でサポートされた研究をもとに後は空想を展開して万病に効く物質や”頭が良くなる方法”などを見いだし企業と結託して商売を展開している様は醜悪でさえあります。これが産学協同とかトランスレーショナルリサーチだとかいって推進されているのも腹立たしい。
論文はウソなら引用されなくなったり単純に無視されたりして自然に淘汰されていきますが、虚偽の研究に基づいて行われる臨床治験などやもっと規制の緩い特定食品などは、直接に患者や被験者、消費者の生命の危機につながる場合もあります。
ちょっと前に紹介した”ストレスセンサー”の話も自殺予防に役に立つとは専門家はだれも思わないでしょうが堂々と記事として出ている。新聞記者がバカか何かの理由でこういう記事を書くことを強要されているとしか思えませんね。
hypoxia research::blog: "ストレス:だ液で測る装置開発"


科学者は真理の追究という自らの責務に対してもっと忠実であるべきだという思いを強くしました。

投稿者 hif1 : 2005年11月05日 14:09

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