少し前に日本の新聞を中心とするメディアでもノーベル賞作家Günter Grass氏が戦中にナチ武装親衛隊にいたという報道がありました。(http://www.asahi.com/culture/update/0812/010.html)
New York TimesではAPからの配信のみが掲載されていましたが今日、はじめてまとまった署名記事を載せています。
Günter Grass Under Siege After Revealing SS Past - New York Times
どちらかといえば批判的な意見だと思います。
15歳の少年の行為をとやかく言うことは酷と思いますが、事実を今まで隠していたと云うことに問題があると考えられているのだと思います。いままでそのような事実が明らかになってこなかったということも驚きです。
日本語に翻訳されたGrassの小説や随筆は、学生時代にほぼ読破しました。
代表作”ブリキの太鼓”は、ドイツ語で半分以上読みました。ある一生に”タマネギ酒場にて”(Im Zwiebel Kellarだったと思います)は今でも記憶に残っています。個人的には今回の報道にはすこしショックを受けています。
今回Grassが書いたという自伝のタイトルは"Peeling the Onion"だそうですが、関係があるのでしょうか。
小説は、一晩である人の人生を変えてしまうほどの破壊力があります。それ故、作家個人へ過度の思い入れをしてしまう場合があります。
トルストイにしてもあまりに破滅的な人生を送って最後は家でして風邪を引いてほとんどのたれ死にをしたわけだし、作家の作品とその人の実人生を過度に結びつけて考えるのは良くないのかも知れません。
これは科学者も同じですね。偉大な業績を上げた科学者がいい人とは限りません。むしろ研究室では...
詳しくは書きませんが医者でもそんな人がいます。
こういったケースも本当に偉大なら良いのですが、偉大だと思われているだけだとタチが悪いですね。