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今週の一押し 番外:"アメリカ臨床医物語"

科研費の作業も山を越え提出の目処が完全につきました。月曜は何時に終わるかわからん麻酔なので今日中に何とかしておく必要があったのですがよかった。

先週紹介した"脳のなかの水分子―意識が創られるとき"の作者中田先生の本
アメリカ臨床医物語―ジャングル病院での18年
米国の医学部、医学研究、医療事情の紹介は山ほどありますが、たいていはたいして役に立ちません。そのなかでこれは一風変わった本です。役に立つとかそういったことを超えている感じで、示唆にとんだ本と言えると思います。

中田先生は
臨床医と研究者と教育者を明確に区別しています。

アメリカでは臨床医は臨床医である。教授であろうが開業医であろうが、臨床医であることには変わりがない。大学の医者とは教育をやりたがる医者であり、教授とは学問上の肩書きである。
臨床医はどんなにすばらしい能力を持っていても、一般社会からはほめられることがない。映画とか漫画には「だれにでもできないことをやるスーパー医者」が登場するが医療とはそもそもそのようなものではない。中略 もちろん、どの世界でもスタンドプレーをする人間は多く、医学もしかりである。しかし、そんなおろかな素人さんを、ほんとうのプロたちは気にもしていない。
とも書いておられます。

スーパードクターが漫画の世界の存在であるというのは、とてもよくできた皮肉だと思います。漫画の主人公のような”スーパードクター”が手術室で”芸’をしているのをぼくも見たことがあるような気もします。

中田先生の意見で一番共感できたのは臨床医は臨床を研究者は研究をすべきと云うことです。たまたま臨床医が研究をすることがあっても研究が臨床を曲げてはならんと云うことはとても重要だと思います。
ぼくが”臨床研究”をしない理由もここにあります。

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2006年10月29日 20:03に投稿されたエントリのページです。

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