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「情報の非対称性」

経済学の概念に「情報の非対称性」というものがあります。
wikipedia(参照 on Wikipedia)によれば


-情報の非対称性を最初に指摘したのは、アメリカの理論経済学者ケネス・アローである。アローは1963年にアメリカの経済学会誌「アメリカン・エコノミック・レビュー」において「Uncertainty and the Welfare Economics of Medical Care(不確実性と医療の厚生経済学)」という論文を発表し、医者と患者との間にある情報の非対称性が、医療保険の効率的運用を阻害するという現象を指摘した。-

のだそうです。

いくら患者さんに医療内容を説明しようとも、原理的にこの非対称性を越えることは難しいです。
医師であってもこと自分や家族の病気に直面すれば冷静に対処することは難しく、素人のように病状の変化に一喜一憂する場合もあると思います。

このような状況下では、「逆選択」(参照 on wikipedia)と呼ばれるような現象が起こりうることが知られています。つまり


-情報の非対称性が存在する状況では、情報優位者(保持している情報量が多い取引主体)は情報劣位者(保持している情報量が少ない取引主体)の無知につけ込み、劣悪な財やサービスを良質な財やサービスと称して提供しようとするインセンティブが働く。
そのため、情報劣位者が良質な財やサービスを選択しようとしても、結果的にはその逆の選択が行われてしまう。このような、取引前に行われる機会主義的行動(モラルに制約されない利己的な行動)が、逆選抜である。逆選抜は逆選択とも呼ばれる-

というような状態です。

昨今の医療問題の報道で明らかなように日本のTVや新聞などのマスコミは日本で実際に行われている医療がどういうものなのかを良く理解しているとはいえません。このような、人たちは、情報の過供給者から得た情報を一方的に報道する場合があると思います。頻繁に記者会見を開き、TVカメラの前に出現する人間の情報を優先的に場合によってはそれのみが「真実」であるかのように報道する傾向があります。それを知って情報の優位者はある種の悪意を持って情報を過提供しているかも知れないのです。
世の中の多くの人とくに情報劣位者は、過剰に提供される情報を批判的に解釈できませんのでこれまた情報の劣位者であるマスコミが報道する事を結果として信じてしまうということが起こり得ます。

医療をめぐる状況はこのような情報の非対称性が何重にもめぐらされたに置かれています。

怖いですね。まったく。

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2007年03月13日 20:39に投稿されたエントリのページです。

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