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今週の一押し2007 #29;"身体をめぐるレッスン"

五山の送り火も終わりました。ちょっとは涼しくなってくれるとよいのですが,当分無理そうです。
以前住んでいた銀閣寺近くのアパートや今の職場からは普段でも「大」の字がよく見えるのですが、点火されるとさらに大きく見えて毎年びっくりします。
今年は家でNHKの中継を見ました。

身体をめぐるレッスン 3 (3)


岩波書店の”身体をめぐるレッスン”という4冊の単行本で構成される講座の一冊です。
波打つ身体(Material)という副題がついています。

図書館に目的の本を借りに出かけたのですが,既に借りられていて、入手に失敗。かわりに新規購入のコーナーでこの本を見つけました。

タイトルのまんまの様々な視点からの身体論集です。

「身体はなぜ抗うつ薬を食べ続けるのか」などの刺激的なタイトルの論文も収録されています。

紹介するのは「<動くこと>として<見ること>-身体化された看護実践の知」です。
医療現場では、医学的なマニュアル的な知識をもっていてもいざ患者を相手にしたときにその知識を有機的に生かして事に当たることができない場合があります。一年もすれば自ずと身に付いてくるというか会得できる実践的な経験もありますが,もっと長い期間をかけてでないと会得できない知恵のようなものもあります。こういったことは,教科書に記述するのが難しく,指導者から直接伝授される得るようなものでもない。だからといって、経験を積むことで習慣化される行為という訳でなく,自分自身が専門家になる過程で、会得し、意識的に過去の経験と今目の前にある実例との差を検出しながら日々更新していくようなものであると思います。
この一文では,看護師への聞き取りをまとめていくことで上にまとめたような問題を考えています。
機会があればみなが読んだらいいと思います。

初期研修というのも本来は、このような臨床知の会得法を学んでいくのが目標なのだと思います。

「複素的身体論ー無敵の探求」もなかなか考えることの多い論考です。無敵というのは医療の究極の目標だと思います。

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2007年08月16日 21:52に投稿されたエントリのページです。

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