副題のーまだ語られていない真実ーが思わせぶりな本書ですが、正統なうつ病に関する解説書です。
うつ病に関する本は、素人相手の物も含めてかなり読みましたが、本書は特に薬剤治療に関して詳しい解説書でかなり参考になりました。
この本を通じて、また特に第四章ーうつ病は増えているー,第五章ー抗うつ薬は危険か?ーで繰り返し述べられていることは、ちまたにあふれるうつ病に関する書籍やインターネット上の情報にはかなり”いいかげんな”物が多く解釈には十分留意する必要があるということです。
著者によれば、精神科医が書いた物でも、心理学科や保険診療センター所属の教員の書いた文献は,”実際に役立つ知識は得られない場合が多い”し,大学病院の精神科の教授が書いた物でも、”大学病院の臨床レベルが高くない事実”があるので全面的に信用するのは危険だと述べています。名指しで批判されている人もいます。
著者も大学病院の精神科所属の医師なのですが、自分は違うということなのだと思います。実際書かれていることは十分説得力があり、医者であるぼくが読んでもいかがわしく感じる部分はありませんでした。