« 痛みと鎮痛の複雑な関係 | メイン | 糖尿病ー神経疾患ー細胞融合 »

2005年09月01日

数学の事情

今日は当直です。
さっき最後の麻酔が終わりました。このまま明日の朝まで何もないことを祈っています。

京都大学付属図書館のofficial bulletinは”静脩”と言います。
vol.41 no2/3の特集は
"特集 学術情報・電子ジャーナルシンポジウム
でした。
京大図書館主催の同名のシンポジウムの内容をまとめたものです。
今日偶然に目にして非常にためになるよい特集だと思いました。

基調報告の一つ
国際学術情報流通基盤整備事業の現況
国立情報学研究所教授   安 達 淳

は日本の学会がだす雑誌をいかに強くするかという内容です。
麻酔学会のえらい人たちも、これを読んで様々な努力をすべきだと思いますね。

さておもしろかったのは数理研の森重文先生の話です。
数学では


数学論文の特徴ということで言いますと、
論文の引用半減期、寿命だと思っていただければ
よいのですが、これが非常に長い。他の分野と比
べて非常に長い。具体的な数字は、統計資料と言
われると分かりませんが、たとえば数十年前の論
文とか100年前の論文が、歴史的価値でなく、学
術的理由で引用されるということが日常茶飯事で
す。その当然の帰結ですが、バックナンバーの利
用度が高い。

とのこと
また

一方、例えば物理で
Physical Review Letterという雑誌はページ数
が非常に多くて、年に何千ページという量が出る。
研究者はそれを読むことを期待されている。そう
すると、何千ページか読みますと、他のものは何
も読めません。評価してもらうためにはそこに投
稿するしかないという状況の様です。それに比べ
ると、数学というのは、ひとつには寿命が長いし、
数学者は極楽トンボなのかもしれませんけど、ち
ゃんとした仕事をして、ちゃんと発表しておけば、
ちゃんと評価される。そういう能天気なやり方で
やってきて、実際にそれで機能してきています。

なのだそうでうらやましいです。

もっとも数学などは特権的な学問で、大学の数学教室に属する人たちはそれだけですでに選ばれた人たちだという事情もあるかも知れません。
医学、生物学など別に大した才能など無くとも何とか論文を出すことはできますし、だからこそ”差”をつけるためにimpact factorとか計算せざるを得ないと言うような寒い現実があるのではないかと思います。

この号の”静脩”は
静脩目次 Vol.41
ここから読めます。

投稿者 hif1 : 2005年09月01日 22:12

トラックバック

このエントリーのトラックバックURL:
http://dp54020279.lolipop.jp/cgi/mt/mt-tb.cgi/1591

コメント

コメントしてください




保存しますか?

(書式を変更するような一部のHTMLタグを使うことができます)