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研究費の不正使用

内部告発に端を発する早稲田大学教授の科学研究費の不正使用問題ですが、ここに来て論文の捏造問題も出てきてかつて無いほどの重大な事件に発展していく気配になっています。
柳田先生がうまく一連の出来事をまとめておられます。
柳田充弘の休憩時間 Intermission for M. Yanagida : 白昼堂々の早稲田大学教授

東大の事件、阪大の事件でも結局当事者の処分は決定していないか、かなり軽微なものだったのですが少なくとも研究費の不正受給という問題は出ませんでした。その意味では、研究者の倫理的な側面に焦点を合わせた議論が多かったかも知れません。今回は、研究を投資信託にしていたとかの事実も出ていて、この点だけを取り上げれば刑事事件に発展するかも知れませし、そうなれば教授職を含む公職の辞任だけでは決着しないかも知れません。

大学の研究室以外に研究室を持ちまた自分が株式を相当する保有するベンチャー企業を立ち上げ、公的な資金を共同で使っているような研究者は危険だと思います。
公的な資金をベンチャーに入れることで一種のmoney launderingを行うことができます。大学のお金で祇園のお茶や遊びをするのは多分問題でしょう。でも一私企業のお金で何をしようが株主(つまり自分)が納得すれば問題はすくないでしょう。資金は捏造すれすれの研究で稼げばいいわけです。このような事例はぼくの体験からしてもいくらでもあります。
政府が本気でやるならこういった事例を総ざらいすべきでしょう。

これは実は研究費の使い方の問題でなく、配分の問題なのだと思います。

能力のないもの、成果のない研究者が巨額な研究費を手にすること自体が「不正」であると、国や公共機関は、つまり納税者は認識する必要があります。

巨額でなくとも10万円でも、成果の無い研究者に研究費を配分する必要はまったくありません。研究者は、学部生ー大学院生ーポスドクー若手研究者ー研究者とステップを踏んで行くわけですが、その段階ごとにある種の淘汰を受けるはずです。若手研究者には別の評価システムを用意すればいいのです。その段階で”能力”もあるていど明らかになると思います。
研究の評価にも以前紹介したh-indexの様な客観的な指標と内容に踏み込んだ専門的な評価の二本立てにすべきだと思います。

原稿用紙一枚程度の申請書など誰にでもかけます。そもそも本人が書いている保証さえないのです。なので今までの研究成果に基づき、またpreliminary dataを盛り込んだ米国式のまっとうな審査システムに変えていくことが必要だと思います。
money laundering(マネーロンダリング)を調べていたらYahoo!辞書 - 学歴ロンダリングという言葉があるのを知りました。びっくりしました。ぼくはこれは困ったものだと思います。

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2006年07月02日 19:25に投稿されたエントリのページです。

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